電子たばこを規制する建前に
前出のO氏によると、ベイプの醍醐味は後者で、リキッドへ好みのフレーバーを入れて好きな味や香りをつくり出して楽しむことができる。この点がまさにゲーム感覚で、若者が飛びついたのだろうと話す。
インターネット上にはフレーバー調合レシピやオリジナルフレーバーが高額で売られている。カートリッジタイプは、ミントならミント、ビターコーヒーならビターコーヒーの決まった1種類しか楽しめず、ベイプの本来の楽しみはまったくないとO氏は断言する。
この簡単に混ぜあわせることができる点が、アメリカなどで健康被害の要因となっている。元々ニコチンが含まれるリキッドに大麻やコカインなどを補充したりすることが簡単なため、違法薬物が容易に手に入る環境だと薬物中毒になったり、フレーバーの組み合わせ方が無数にあるため、どんなものが生み出されて、人体へどんな悪影響があるのかもまったく把握できないことも一因となっている。
以上が、電子たばこを規制する建前に使われている。しかし、各国の本音は別にある。それは、電子たばこは新しい製品のため税制度が整っておらず、税金をうまく徴収できないことだ。
タイが、ほぼ日本でしか発売されていない加熱式たばこも電子たばこに含めて厳しく禁止しているのは、国内のたばこ産業を保護するためと見られる。
将来、法制度が整ったら
加熱式たばこに言及したので、もう少し触れておくと、日本ではニコチン入りの電子たばこが禁止されているため、「iQOS(アイコス)」などの加熱式たばこが人気を博している。
アイコスの販売元の「フィリップ モリス ジャパン」など各社は、「加熱式たばこはタバコ葉を使用しているため電子たばことは違う」とサイトでのPRを強めている。世界的な電子たばこ規制を受けての差別化を図っているのだろう。
そのタバコ葉を使用する加熱式たばこも紙巻たばこと、たばこ税が大きく異なっている。しかも、アイコス、glo(グロー/「ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン」)、Ploom TECH(プルームテック/「JT」)で税率がバラバラであることをご存知であろうか。なぜかプルームテックが圧倒的に税金が安い。にもかかわらず、紙巻たばこと加熱式たばこ用のたばこは、同額で店頭販売されている。
タバコ葉を含む製品でもこんな状況なので、ニコチン入り液体である電子たばこは、蒸気を吸引するものなのでたばこ扱いはできず、貴重な財源であるたばこ税徴収に支障をきたし始めたので、各国とも多くの人が納得しそうな建前を挙げて禁止しようとしているのが現実だろう。
となると、将来、法制度が整ったら電子たばこ再解禁となる日も訪れるかもれない。(筑前サンミゲル/5時から作家塾(R))