マイホームを早く買ったほうが良い理由
マイホーム購入が早い方が良い理由について、具体的な数字を用いて説明していきたいと思います。
ここでは、3000万円のマイホーム購入を検討しているAさんとBさんの2人がいるとします。AさんもBさんも35歳で、今の時点で出せる頭金は1割の300万円です。住宅ローンは「フラット35」(※1)を採用します。今月(2020年4月)のフラット35の標準的な金利*である1.30%を用い、返済期間は35年で借りるとします。(*「フラットS」〈※2〉などは適用せず、多くの金融機関が採用している金利を用います。)
Aさんは慎重なので、あと5年かけて、もう300万円ほど貯めて、頭金を2割に増やしたのちマイホームを購入するとします。Aさんがマイホームを購入する年齢は40歳になりますので、住宅ローンを見直さなかったとすれば、完済年齢は75歳のときです。
いっぽうのBさんは、頭金は1割しか出せないけれど、今の年齢で購入に踏み切るとします。住宅ローンを見直さなければ、Bさんの完済年齢は70歳になります。ただしBさんは、頭金を増やさなかった代わりに、繰り上げ返済用の貯蓄に励み、40歳時点で物件価格の1割に当たる300万円の繰り上げ返済をすることにします。
さて、両者の場合、住宅ローンの返済状況はどのようになるでしょうか。
まずは5年間、頭金づくりに励んだAさんですが、60歳時点における住宅ローン残高は800万円ほど残ってしまう計算になります。いっぽう、頭金は1割しか準備できなかったものの、物件価格のもう1割分を繰り上げ返済に充てたBさんの60歳時点の住宅ローン残高は、473万円まで減っています。60歳時点の住宅ローン残高の差は、300万円を超えることになるのです。
頭金を増やすのは正しい行動とはいえ、頭金の準備に時間がかかり購入年齢が遅くなると、定年退職時の住宅ローン残高が多く残ってしまうリスクが生じます。さらに返済総額で見ても、AさんのほうがBさんより65万円も多く、返済する計算になります。
購入年齢が上がれば、お子さんの学年も上がります。学年が上がれば、教育資金の負担も増えるのが一般的です。繰り上げ返済がしやすいのは、「小学校の低学年まで」という現実を考えますと、Aさんのように慎重な方ほど、繰り上げ返済がしづらくなる悪循環に陥るリスクも抱えてしまうことになるわけです。
今回、オリンピックが延期されたことで、マイホーム購入を「当初の予定よりも先」にしようと考えるご家庭が出てくるでしょう。マイホームを購入する時期は各家庭の自由とはいえ、購入時期の先送りにはリスクがあることを理解し、老後にできるだけ借金を残さないプランを立てることが重要だと思います。
※1 民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する最長35年の全期間固定金利の住宅ローン
※2 耐震性や省エネルギー性など、建物の構造によって優遇金利が適用される制度
【新時代のマネー戦略】は、FPなどのお金プロが、変化の激しい時代の家計防衛術や資産形成を提案する連載コラムです。毎月第2・第4金曜日に掲載します。アーカイブはこちら