趣味・レジャー

芸術文化は壊滅的、急がれる生活支援「賃貸料は待ってくれない」

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、芸術・文化活動の多くが中止や延期に追い込まれている。俳優や演奏家、制作陣ら関係者を対象にした各種アンケート結果から、早急な金銭的支援が必要な実態が明らかになった。

 ライブ・エンターテインメント市場の統計調査を行うシンクタンク「ぴあ総研」によると、感染拡大防止のため、音楽コンサートや演劇、ミュージカル、スポーツなどの公演や試合が中止・延期で売り上げがゼロもしくは減少した総数は3月23日現在、8万1千本(確定値)にのぼる。

 また5月末まで自粛が続いた場合、さらに7万2千本(推計値)が追加され計15万3千本となり、損失額は3300億円に達するとみられる。昨年の年間のライブ・エンターテインメント市場は推計9千億円規模だったが、今年は大幅減少が予想される。

 コンサルティング会社「ケイスリー」(東京・渋谷)が4月にアーティストら芸術・文化関係者に実施したアンケートによると、8割以上が「収入が低下した」と回答。また行政の金銭的支援策については96%が「不十分」と答えた。

 調査は先月3日から10日にかけインターネットを通じて行われ、3357人が回答。回答者の71%がアーティスト(俳優、演奏家、ダンサーなど)で、続いて制作者・制作側(技術者・スタッフ含む)が34%を占めた(複数回答)。

 回答者からは「3カ月先の仕事もなくなり生活が困窮」「収入が途絶え、他の仕事を探すも、どこの業界もコロナでバイト求人さえ少ない」として生活への早急な支援を求める声も寄せられている。

 協同組合「日本俳優連合」(理事長・西田敏行、会員数・約2600人)が俳優や声優を対象に4月14~19日に集計した実態調査アンケート結果によると、4月の収入が減った人は7割を超え、うち3割近くが無収入と回答している。

 こうしたフリーランスのアーティストたちを支援する「持続化給付金」などがあるが、収入減少の証明が必要だ。普段、銀行振り込みでなく現金で受け取っている場合は、記録が残っていないことも少なくない。申請のハードルが高いといった指摘も出ている。

 自由回答欄には「現時点で収入がなくても、賃貸料は待ってくれない」「他国のような素早い支援を求める」といった多くの声が寄せられていた。

 ぴあ総研の笹井裕子所長は「過去経験したことがなく、インパクトは大きい。この状況が長引くと、活動を断念する個人事業主や団体も出てくるのでは。自粛解除後も元の状態に戻るのには2、3年、あるいはもっとかかるかもしれず、先が見通せない」と話す。(水沼啓子)

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