ヘルスケア

「ぬか喜びはごめんだ」治療薬・ワクチンの道険し 第2波に備えて急ピッチ

 ただ、ヒドロキシクロロキンの一件があったからか、一部の研究者の反応は冷静だ。ロイター通信は、デキサメタゾンに対して、米国内の医師らには期待感と同時に懐疑的な見解があると報じた。

 米ハーバード大医学部マサチューセッツ総合病院のキャサリン・ヒバート医師はロイターに「(デキサメタゾンに関する研究結果が)真実であると強く期待している」としつつも、現時点で治療の手法は変えない考えを示した。ニューヨーク州の医療機関、ノースウェル・ヘルスで副医長を務めるトーマス・マッギン氏もロイターに、ステロイド剤は免疫システムを抑制する可能性があると警告した。

 ワクチン開発も苦戦

 一方、新型コロナの感染予防に用いられるワクチンの開発も進んでいるものの、実用化のめどはたっていない。

 WHOが公表した6月28日時点のリストによると、現在140以上のワクチンの開発計画が進んでおり、うち欧米などの17剤は人に投与して安全性や有効性を確かめる臨床試験に入った。ただ、テドロス氏は25日、新型コロナのワクチンを実用化できるかどうかは定かでないとした上で、開発には1年かかる可能性もあるとも指摘している。

 新型コロナをめぐっては、いまだに起源も解明されていない。コウモリに由来する可能性が指摘される一方、トランプ米政権はウイルス感染が最初に確認された中国湖北省武漢市にある中国科学院武漢ウイルス研究所からの流出を疑っている。テドロス氏は29日、新型コロナの起源などを検証するための調査チームを7月6日の週に中国へ派遣すると表明した。

 新型コロナ感染後に、臭いや味を満足に感じとれなくなったり、視力が低下したりする報告も寄せられている。後遺症についての調査も遅れている。これらの症状の原因解明も含め、新型コロナの克服にはまだ時間がかかりそうだ。

Recommend

Biz Plus

Ranking

アクセスランキング