いきもの語り

入院中の子供を癒す「ファシリティードッグ」アイビー

 「アイビー、ステイ」。6月、東京都立小児総合医療センター(府中市)の病棟で、入院する小学5年の男児(10)の声が響く。仲良しのラブラドール・レトリバーの雌「アイビー」にコマンド(命令)を覚えさせていた。アイビーがコマンド通りにできると、男児はごほうびの餌をあげた。

 アイビーはこの病院で入院中の子供たちに寄り添う「ファシリティードッグ」と呼ばれる犬だ。そのパートナーとして活動する「ハンドラー」の大橋真友子さん(42)とともに、病院で働いている。

 大橋さんは看護師として小児病棟などで16年の臨床経験を持ち、元同僚の看護師がハンドラーになったのをきっかけに目指し、専門的な訓練を受けた。昨年8月から、アイビーとともに同医療センターに勤務している。

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 アイビーの一日はこうだ。午前9時半ごろ、大橋さんとともに病院に“出勤”。大橋さんが患者のカルテや、感染症の危険がないかなどを確認した後、10時半ごろから病棟に入る。病棟では、入院中の子供たちの治療に付き添ったり、一緒に遊んだりする。途中、長めの休憩を取りながら、午後4時半ごろ“退勤”する。

 その後は大橋さんの自宅に戻り、餌を食べたり散歩したりする。アイビーは大橋さんの家族とともに休日も一緒に暮らし、信頼関係を築いている。

 院内でのアイビーの仕事は多岐にわたる。冒頭のように入院中の子供の遊び相手になるだけでなく、点滴の処置で寄り添ったり、手術を受ける子供に病室から手術室の入り口まで付いていったりする。アイビーがいることで、子供の痛みや恐怖を和らげることができる。

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