ヘルスケア

「下水に潜む新型コロナウイルスを探せ」 仏が感染の早期把握に新手法

 【パリ=三井美奈】フランスが新型コロナウイルスの「第2波」防止に向け、下水検査に乗り出した。

 腸から排出されるウイルスの増減を調べることで、流行地域を早期に把握できるためだ。都市封鎖の解除が進む欧州では、感染予測の切り札として各国で下水検査が進んでいる。

 公衆衛生に関する政府諮問機関、仏国立医学アカデミーは7日、「感染再発の予測に役立つ」として、全国で下水検査を行うよう勧告した。

 下水検査は、パリ水道局が3月初めに開始し、東部ナンシーや中部クレルモンフェランなど、すでに各地で始まっている。

 パリ水道局の担当者、ローラン・ムラン氏は「パリ首都圏では15カ所で毎週、サンプル検査をしている。9月までに全国150カ所に広げるのが目標」と話す。

 同アカデミーによると、下水検査が有効なのは、(1)ウイルス感染で患者の10%に下痢などの胃腸の不調が生じている(2)無症状患者でも30~50%がウイルスを排泄(はいせつ)している、とみられているからだ。

 パリ水道局では4月、感染の広がりに伴って検出量が3月初めの約100倍に増加。都市封鎖が解除された5月には、ほとんど検出されなくなったが、最近は微増傾向にあるという。

 仏政府は現在、週30万件のペースでPCR検査を行っており、下水検査とあわせて、感染「第2波」の早期発見を目指す方針だ。

 新型コロナの下水検査はフランスのほか、英国やオランダ、スペインでも行われている。

 イタリアでは、感染の中心だった北部で最初の患者が確認される2カ月前の昨年12月に、ウイルスが存在していたことが下水検査で発覚した。

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