海水浴、キャンプ…定番消えた夏 手持ち花火に人気
【コロナ禍を生きる】
新型コロナウイルスの収束が見えない中、海や山などでのスポーツ合宿やレジャーを控える動きが顕著になっている。一方で、自宅で遊べる手持ち花火や縁日セットなどが「巣ごもり需要」で人気。コロナ禍は夏定番の過ごし方にも大きな変化を与えている。(小林佳恵、端迫雅俊)
合宿やキャンプ中止
「感染防止対策の勉強会を実施して合宿受け入れの準備を行っているが、キャンセルは9割を超えた」
ラグビー合宿の聖地である長野県の菅平高原旅館組合長、宮下透さん(53)は残念そうに話した。
昨夏は800チーム以上を受け入れ、今年は昨年開催されたラグビーワールド杯(W杯)の効果で、例年以上に盛り上がることが予想されたが、8月初旬までの受け入れは60チーム前後と大幅に減っている。
宮下さんによると、「学校から控えた方が良いと指導があった」「旅館で対策していても移動もあるので踏み切れない」といった理由が多かったという。
今冬の全国高校ラグビー大会で準優勝した御所実業(奈良県)を含む全国10校でプロコーチとして指導する二ノ丸友幸氏(41)は「普段交流できないエリアのチームと試合ができるメリットがある」と菅平での夏合宿の重要性を語る。
だが、コロナ禍の影響で、指導している高校でも合宿への対応が異なっているという。統一された判断基準がないため、合宿に参加できない高校の中には冬の大会を前に不安や焦りを感じている生徒もいるという。
水着も売れず
海水浴場やキャンプ場の開設中止も夏の商戦に痛手を与えている。
大手水着ブランド「サンアイリゾート」では、8月1~10日までの既存店売上高が前年同期と比べ約4割に落ち込んだ。新型コロナの感染防止のため、各地で海水浴場の開業やプールの営業が中止となったことに加え、海外旅行などの自粛も影響したとみられる。
同ブランドの担当者は「梅雨明けしてから少し回復したが、全体的には厳しい状況。今年は8月に入ってから晴天が続いており、新型コロナがなければ売り上げは良かったと思う」と話す。
水着が苦戦する一方で、同ブランドでは7月に、水着素材のUVカットマスクを発売したところ、一部は予約待ちの状態となり、増産を重ねるなど好調だという。
今夏は自宅で
外での活動がままならない中、自宅で夏を感じられるグッズに注目が集まる。
玩具や花火の製造・販売を手がける「オンダ」(東京都台東区)は今月7日、本社前で、新型コロナの影響で出かけられない子供に届けようと、煙の少ない手持ち花火を無料配布した。
「煙の少ないものなら、家の周りでもできそう」と話すのは、長女の美晴ちゃん(6)と訪れた同区の自営業、山村晶子さん(37)。感染を防ぐため遠出を控えており、「自宅で絵本を読んだり、お風呂にぬるま湯を張って水遊びやシャボン玉をしたりして過ごしている」という。
同社では新型コロナの感染拡大後、一時、手持ち花火の売り上げが例年の約2倍、シャボン玉が約1・5倍にまで上がった。バドミントンのラケットなど公園で使える遊具の売り上げも増えているという。
同社常務取締役の恩田郷子(さとこ)さんは「煙の少ないタイプなら近隣への配慮もでき、子供もむせづらい。ぜひ自宅で浴衣を着て手持ち花火をしてリフレッシュしていただきたい」とする。
駄菓子や玩具を販売する井ノ口商店(東京都荒川区)では、自宅で手軽にできる射的や輪投げなどのセット、「お家で遊ぼうシリーズ」を用意。
同店代表の井ノ口展功(のぶかつ)さんは、「縁日のおもちゃや駄菓子は、大人も懐かしい気持ちになれる。田舎にも帰れないという方も、お家で、皆さんで楽しんでいただきたい」と話した。