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不妊治療の助成拡充 厚労省が概算要求へ

 不妊治療の経済的負担を軽減するため、厚生労働省は令和3年度予算案の概算要求に、既存の助成制度の拡充を盛り込む方針を固めた。財務省は概算要求提出の締め切りを、新型コロナウイルス感染の影響から例年より1カ月遅い9月末としている。厚労省は近く自民党に概算要求原案を示す。増額幅や所得要件などの詳細は予算編成過程で詰める。

 菅義偉(すが・よしひで)首相は少子化対策の一環として、不妊治療の保険適用の実現を田村憲久厚労相に指示。厚労省は実現するまでの間、助成制度を大幅に拡充することで対応する方針だ。田村氏は20日のフジテレビ番組で、助成金拡充について「対象者の所得制限をどう考えるのかと、金額をさらに広げていくことを検討している」と述べた。

 助成制度は今年度の場合、治療開始時の妻の年齢が44歳未満、夫婦の所得が730万円未満を条件に初回30万円、2回目以降は15万円を3回まで、妻が41歳未満の場合は6回まで補助している。助成回数を増やすことや、所得制限の緩和などが課題となりそうだ。

 不妊治療をめぐっては、菅首相は内閣発足の16日に閣議決定した「基本方針」に「不妊治療への保険適用を実現」と明確な形で盛り込んだ。政府の基本方針に不妊治療の保険適用が盛り込まれることは異例だ。

 公的医療保険が適用されるのは排卵誘発剤を使う治療など一部に限られている。体外受精や顕微授精といった高度生殖医療は保険適用外の「自由診療」で費用は全額自己負担となる。1回数十万円かかり、子供を望みながら妊娠できない夫婦の重荷となっている。

 保険適用は4年度の診療報酬改定に合わせて実施する案が浮上している。医療機関に支払われる公定価格「診療報酬」は原則2年に1回改定され、次回は4年4月を予定している。

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