ヘルスケア

iPS視細胞、世界初の移植を発表 神戸の病院

 人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って光を感じる「視細胞」のもとになる細胞を作り、「網膜色素変性症」という目の難病の患者に移植し治療する臨床研究について、神戸市立神戸アイセンター病院は16日、世界初の移植手術を実施したと正式に発表した。手術は成功し、患者の容体は安定していると明らかにした。

 手術は視力をほぼ失った関西在住の60代女性に10月上旬、実施した。約2時間で予定通り終了し、合併症もなかったという。

 健康な人から作ったiPS細胞から視細胞のもとになる細胞を作製。直径約1ミリのシート状に加工し患部に移植した。正常な視細胞に成長させ、光を感じられる程度の改善を目指す。

 網膜色素変性症は視野が狭くなり、視力低下や失明につながる進行性の病気。網膜の視細胞が徐々に死滅し失われる。遺伝的要因で発症するとされ、根本的な治療法は確立していない。

 視細胞 眼球の内側にある網膜を構成する細胞の一つで、視覚の核心的な役割を担っている。薄い層状に並んでおり、網膜に到達した光に反応して刺激を電気信号に変え、見ている物の色や形などの情報を脳に伝える。1つの眼球に1億個以上あるが、障害が起きると視力が低下し、重篤化すると失明に至る。

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