初代はやぶさでは試料が十分にカプセルに格納されず、微粒子だけの採取に留まりましたが、さまざまな改良が加えられたはやぶさ2では、十分な量のサンプルが採取されていることが予想され、はやぶさ2の津田雄一プロジェクトマネージャも「(カプセルには)お宝がきっと入っている。きちんと成功させたい」と回収に意気込みを見せています(関連記事)。成功すれば月以外の天体からの、史上2度目のサンプルリターンとなります。
カプセル投下後、さらに11年間の旅へ
52億5000万kmの旅を成し遂げたはやぶさ2ではありますが、機体のダメージもなく、イオン・エンジンの燃料(キセノン)も約半分残っているため、引き続き「拡張ミッション」が実施されることが決定されています。
はやぶさ2は地球に向けてカプセルを分離すると、直後に軌道を変更し、次の目的地である微小小惑星「1998 KY26」へ向かいます。この天体は直径が30mしかなく、10分で1回自転する「超高速自転天体」です。基本的には地球の外側を、地球に近い軌道で太陽を中心に公転していますが、軌道の一部は地球の公転軌道をまたいで内側に入ります。
これだけ小さな天体にランデブーするには非常に高い誘導精度が必要ですが、もし成功すれば、微小小惑星に到達させた史上初のプロジェクトとなります。小惑星や地球でのフライバイを計3回実行して加速し、2031年7月に目的地に到着する予定です。 もしタイミングが合えば、2回行われる地球フライバイの際に、夜空にはやぶさ2の光跡を観測できるかもしれません。
はやぶさ2には現在、サンプラホーンの弾丸と、天体への降下時の道しるべとなる「ターゲット・マーカー」(直径10cmの球体)が1発ずつ残っているため、地表へのタッチダウンによる観測にも挑戦する予定です。地球に落下する巨大隕石はこうした小惑星だと考えられており、その特徴を知ることは人類に大きな意味をもたらします。
オンラインでテレメトリーを観測
さて、はやぶさ2がいま現在、どのようなコンディションで運用されているかを見ることができるサイト「Haya2NOW」も公開されています。打ち上げからの経過時間、位置のほか、消費電力、スラスターの噴射積算秒数、使用アンテナなどのテレメトリーのほか、地上局からの送受信のデモ体験もでき、電波到達時間が実感できます。
【はやぶさ2のテレメトリー観測サイト「Haya2NOW」】
はやぶさ2と交信している地上局は、臼田(長野県佐久市)、内之浦(鹿児島県肝付町)の観測所のほか、NASA(米航空宇宙局)とESA(欧州宇宙機関)の施設など世界に6ヵ所あり、地球の自転に合わせて通信局を切り換え、常時そのコンディションを観測しています。
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