暮らし替えの道しるべ
（６０）片づける目的は？
自宅で過ごす時間が長くなり、住まいに居心地の良さがいっそう求められるようになりました。もしかして、片づけなくちゃ、捨てなくちゃ、とイライラしていませんか。
以前見た『３６５日のシンプルライフ』という映画では、主人公が部屋にあふれたものをすべて倉庫に入れ、必要なものを１日１つ、倉庫から取り出して何もない部屋に運び込むという実験をします。まさに大事なものは何か、を見いだす「もの」がたりです。
こんな実験はなかなかできませんが、一つおすすめしたいのが、片づける前に、その目的を考えてみることです。
自宅なら、自分や家族が日々居心地よく暮らせるように、家事効率を考えた片づけをします。実家なら親にこれからもずっと元気で暮らしてもらえるように、転倒事故など起こさないための安全を重視した片づけが必要です。
そこに暮らす誰かのためにどう片づけたらいいかが片づけの目的になります。その目的に合わせて、「どんなものがあったらいいのか？」「いらないものはなにか？」を考えると、要不要の区別がつきやすく片づけが進むのではないでしょうか。
部屋ごとに主役と目的が決まったら、あとは少しずつ片づけを進めるだけです。
大事なことは、居心地の良い部屋を継続すること。そのためには、ものを持ちすぎないようにすることです。ものは人を幸せにするけれど、多すぎると人は不幸にもなる。これは、片づけの現場を見て感じることです。
（日本ホームステージング協会 代表理事 杉之原冨士子）