副業でパートやアルバイト 社会保険に加入していますか?
会社員が加入する主な社会保険には、雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金保険(以下、厚生年金)などがあります。フリーランスとして個人で副業する場合は、いくら大きな報酬を得ようと、新たに社会保険に加入する必要はありません。
一方、企業に雇われる形で副業する場合、社会保険の種類によっては新たに届け出が必要となり、保険料の負担が増えることもあります。
雇用保険は2つの事業所で加入できないため、報酬の多いところで加入することになります。労災保険は、本業と副業の事業所両方で加入することになりますが、保険料は事業所が負担するため、働いている人に新たな負担が生じることはありません。
つまり、副業で影響の出る可能性があるのは、健康保険と厚生年金です。以下の要件を満たすと、副業先の事業所でも加入の義務が生じるからです。
《健康保険・厚生年金の加入対象者の要件》
(1)1週間あたりの決まった労働時間が20時間以上あること
(2)1カ月あたりの賃金が8.8万円以上あること
(3)雇用期間の見込みが1年以上あること
(4)学生でないこと
(5)従業員数が501人以上の会社で働いていること※
※従業員数が500人以下の会社でも労使の合意があれば加入できることもある。
上記の要件を満たし、本業と副業先の事業所で加入することになった場合の届け出方法は、次の通りです。
- 厚生年金・・・被保険者がいずれか一方の事業所を選び、その事業所を管轄する年金事務所へ届け出る
- 健康保険・・・保険者(健康保険組合や協会けんぽ)が複数ある場合は、いずれかの保険者を選び届け出る
出典:厚生労働省HP *3
副業を通じて知識も身につける
副業により、経済的な豊かさが得られることや、自分の新たな可能性を見出せる効果が期待できる一方、税金の申告が必要だったり、社会保険の加入にも影響が出てきたりなど、面倒なことが生じてくることは事実です。しかし、確定申告や社会保険の手続きを自分でしてみると、それぞれの制度に関する知識も高まるはずです。ぜひ前向きに捉えて取り組んでみてはいかがでしょうか。
もしわからないことがあった場合は、勤務先や税務署、年金事務所、健康保険組合などに相談してみるとよいでしょう。
*1 マイナビ転職『副業に関する意識調査』
2020年11月13日(金)~11月16日(月)に、3年以内副業経験、または副業意向がある会社員(正社員)・公務員を対象にWEB調査を実施。有効回答数は800名(内訳:20歳~59歳の年代ごとに200名)。
*2 国税庁ウェブサイト
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kakutei/kakutei/fukugyo.htm
*3 厚生労働省HP
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/2810tekiyoukakudai.html
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