書評

『うしろむき夕食店』冬森灯・著 料理きっかけに歩み出す人々

 昔懐かしい雰囲気から、「うしろむき夕食店」と呼ばれるレストランが舞台の連作短編集だ。

 店の名物は、料理おみくじ。「願いととのうエビフライ」「商いよろしマカロニグラタン」などと記されたおみくじを引き、メニューを注文する。食べたいものに迷うくらいだから、登場人物は悩みを抱える人ばかり。異動先での仕事に苦戦する会社員らが、おいしい料理をきっかけに過去を振り返り、未来へ歩み出していく。

 卵が丸ごと入ったメンチカツやタマネギとパン粉たっぷりのハンバーグなど、食べ物の描写におなかがすいてくる。(ポプラ社、1760円)

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