三田紀房氏による『インベスターZ』という漫画作品をご存知でしょうか? とある学園の「投資部」を舞台にFXや不動産投資など資金運用の世界が描かれています。実は現実の世界の大学にも、「投資サークル」という活動があります。学校教育では学べない「金融リテラシー」について、学生自身が自主的に勉強をしているのです。
そんな全国28大学の「投資サークル」所属の1000人以上で構成される日本最大の金融系学生団体が「学生投資連合USIC」( http://usic2008.com/)です。「日本を学生から金融大国に」というビジョンのもと、「学生の金融リテラシー向上」のための様々な活動を行っています。
そのUSICで「企業団体・官公庁との勉強会開催」、「IRコンテストの運営」、「金融情報誌SPOCKの発行」の取りまとめを行う幹部3人で投資・金融・学生生活について対談しました。
■USICの活動 実情と展望
八田:学生投資連合USICは主に「企業団体・官公庁との勉強会開催」、「IRコンテストの運営」、「金融情報誌SPOCKの発行」を行う。最近では金融機関との勉強会だけでなく、金融庁とも定期的に意見交換の場を設けて頂いており、ありがたい限りです。
峰:学生としても、例えばIRプレゼンコンテストでは、実際に企業の経営陣にインタビューしながら資料を作り、それを数百人の前でプレゼンするなんて機会はないから非常に貴重だし、学びも多いよね。
八田:このコロナ禍では、すべてオンラインの活動ではあるけど、地方から勉強会やイベントに参加できることはメリット。
佐野:それでもやはり、学生のための金融情報誌SPOCKの配布も難しくなるなど、活動が制限されているのも事実。
八田:今後は、メディアとの連携を通じて、オンラインでも発信し続けることが大切になるね。若年層への投資の切っ掛け作りは勿論、弊団体の認知度をあげることは活動領域の拡大になるはず。そして、投資を勉強する学生の代表として、学生側の金融リテラシー向上にとどまらず、関係機関と連携しながら若年層の投資のしやすい環境づくりを目指し、制度や仕組み面にも働きかけることも忘れてはいけない。
■投資や金融に興味を持った切っ掛けは
峰:中学生の時から興味あったんだけどなかなか始めるきっかけがなくて、USICの勉強会で背中を押されて実際に始めた。お金を稼げそうという漠然としたイメージもあったかな。
八田:そうだよね。私も一番最初のきっかけは同じだな。小学生のころに興味をもち始めたのだけれど、バイトもできないし、投資しかない!というかんじ。今、思い返すと安直な判断で恥ずかしいなぁ。
峰:でも、やっぱり儲かりそうな良いイメージが切っ掛けになるよね。
佐野:うーん、私は少し違うかな。父親がライブドア事件や海外新興株で大損していて、むしろ資産を稼ぐためではなく、資産を守るために、金融・投資のことを学ぼうと思ったのが切っ掛け。
八田:確かに、儲けたいという人よりも新入生にしたアンケートをみると、勉強をするために投資サークルに入ったという人が一番多かったな。皆、将来のことを考えている学生が多いのかもしれないね。
■投資をする・金融を学ぶ意義とは
八田:結局のところ、社会勉強になるということに尽きるよね。ミクロ的には企業の決算から収益構造を読み解いたり、マクロ的には世界中のニュースから市場への影響を考えたり、いずれにせよ、自分の読みがあたったときは嬉しいな。
峰:社会の仕組みを知れるし、実際に投資をすることで世の中の出来事を「自分ごと」化できるよね。
八田:そう、世界の片隅で起きたことが、自分たちにも影響があると思うと、他人事ではないよね。
佐野:確かに、社会の動きを知れることだよね。人生100年時代といわれなかで、漠然と将来への不安がある訳だけど、お金の動きを知ることは必須。自分を守るためにも、金融リテラシーを身に着けるのは絶対に必要だと思うな。
峰:あとは気の持ちよう。あそこの会社の株主なんだぞって、周りにカッコつけられるし(笑)それに、学生でも、大人と対等に社会に関われるのは嬉しいな。
八田:ステークホルダーの一員として役目を果たしたいね。