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「ラムダ」「イオタ」…コロナ“五輪変異株”警戒を

 東京五輪に向けた海外選手・関係者の来日が本格化する中、日本で確認されていない新型コロナウイルス変異株の流入を危惧する声が強まっている。選手村などでの感染判明が相次ぎ、行動管理の徹底で外部と遮断する「バブル方式」のほころびも指摘される。感染再拡大の最中にある日本から海外に拡散される恐れもあり、「五輪株」を生み出さないための感染対策の実効性が問われている。

 「陽性者が出ることを想定して、さまざまなシミュレーションをしている。(事態を)コントロールできている」。選手村に滞在する南アフリカ選手らの感染が判明した18日、組織委員会の中村英正大会開催統括は感染防止策が機能していることを強調した。

 組織委によると、18日までに来日した海外選手・関係者は計約2万2千人。このうち空港検疫を含む計23人の感染が確認され、19日にも新たに海外関係者2人の感染が判明した。南ア選手らは検疫時の検査をすり抜けた可能性が否めない。また、ウガンダ選手が事前合宿地から行方をくらましたほか、関係者の一部などに行動管理違反が疑われる事例も報告されている。

 15日の参院内閣委員会の閉会中審査では、立憲民主党の塩村文夏(あやか)氏が「バブルに穴が開きまくりだ。東京での感染拡大は絶対に防がなくてはならない」と指摘。丸川珠代五輪相は違反者の厳格な処分や、宿泊先の監督強化などに乗り出す意向を示した。

 日本で未確認の変異株の中で、流入が特に危険視されているのが昨年12月に南米ペルーで初めて報告された「ラムダ株」だ。欧米の研究者らがつくる国際データベース「GISAID」によると、北米や欧州も含め29カ国・地域に感染が広がっている。

 世界保健機関(WHO)は今年6月、ワクチンの有効性などに影響を与える可能性があるとして、ラムダ株を「注目すべき変異株」(VOI)に指定。日本で置き換わりが進むインド由来の変異株(デルタ株)に匹敵する感染力を持つ可能性も指摘される。

 米国由来の「イオタ株」も、WHOがVOIに指定。米疾病対策センター(CDC)によると、4月初旬段階でニューヨークの感染者の約4割が同株だったとみられる。米国内での感染拡大のピークは過ぎたが、国立感染症研究所によると、日本でも空港検疫で5件確認されている。

 三重県で6月に確認されたのは、インド由来の「カッパ株」。感染研によると、感染力の強さを示す研究結果もある。デルタ株に新たな変異が加わった「デルタ・プラス」も国内で30件以上確認されており、日本から流出する形で、新たな変異株が各国に拡散する懸念も潜んでいる。

 東京医科大の濱田篤郎特任教授(渡航医学)は「猛威を振るうデルタ株への警戒が最重要だが、多くの変異株が流入すればその分リスクが高まる」と指摘。「国内の感染拡大に拍車がかかり、感染者の母数が増えれば、新たな変異が生まれ、日本を起点に拡散する懸念も捨てきれない。入国時だけでなく、出国段階でも検査実施を検討すべきだ」と訴えている。

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