ヘルスケア

新型コロナ、感染急増で目立つ「中等症患者」 医療機関には実質重症

 全国で新型コロナウイルス感染者が急増するなか、重症者には分類されないが高度な治療が必要な中等症患者が増加している。高齢者へのワクチン普及に伴い、感染者数に比べ重症者の増加は緩やかだが、その裏で多くの中等症患者が発生。感染「第3波」に匹敵する水準に達し、医療関係者の危機感は高まっている。

 厚生労働省は重症未満の中等症について、IとIIに分類する。このうちIIは呼吸不全の症状が現れて鼻から酸素投与などが必要で、「重症予備群」ともいえる。また、感染者に占める高齢者の割合が減ったため、重症者そのものは第3波より少ない。半面、今回の第5波では若・中年層の中等症が目立ち始めたという。

 「重症予備群」に加え、重症状態を脱して回復途上の患者もいる。こうしたケースには重症者と同様の医療体制で臨むといい、医療機関の実質的な負担は変わらない。

 一方、大阪府では新型コロナウイルス特別措置法に基づく4度目の緊急事態宣言が発令された2日、入院中の軽症・中等症患者が1140人に上った。直近で最も少なかった7月2日の358人と比べ、1カ月で約3・2倍に急増。確保病床2510床の使用率は今月2日に45・4%となった。第5波で確保病床は随時増やしているが、上昇傾向に歯止めがかからない。

 府は、重症ではないが基礎疾患など重症化リスクを抱える患者を原則入院させている。軽症・中等症患者を対象に7月19日に特例承認された「抗体カクテル療法」の点滴薬を普及させ、早期治療によって重症化を防ぐ方針だ。

 府の試算によると、第4波と同じペースで軽症・中等症患者が増えた場合、8月23日にピークの2474人に上る。第4波の1・1倍で増え続ける想定では、同24日に現時点の確保病床の2倍を超える最大5123人に達するという。

 実際はいずれの想定も下回るペースで推移。府は全体で3千床程度の確保を目標とし、約80の医療機関に約500床の上積みを要請しているが、速やかに実現するのは厳しい状況だ。

 吉村洋文知事は2日、記者団に「今後病床は逼迫(ひっぱく)してくる。できるだけ早い段階で入院してもらい、カクテル療法を利用できる患者には適用して、治療を受けられる環境を整えたい」と強調した。

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