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6000人超が新型コロナ感染、サッカー欧州選手権がもたらす教訓

 イングランド代表躍進でタガが外れたファン

 確かに、これらの数字だけをみると、欧州選手権は桁違いだ。ただ、イングランド代表の躍進による高揚感で緊張が一気に緩んだ準決勝、決勝を除けば、一定レベルに抑えられていたのではないか。感染拡大は、舞い上がったファンが基本的な感染予防策をないがしろにした結果と言える気がする。英公共放送BBC(電子版)も「重大なリスクを生み出した」とする一方で、「大規模な参加イベントを安全に実施できることをデータが示している」との英政府の見解を紹介している。

 調査報告書も「ほぼ同数の観客を集めた欧州選手権とウィンブルドン選手権の結果は大きく異なり、欧州選手権は予防策を講じた屋外スポーツイベントのレベルを大きく超える感染が発生したことを示唆している」とした上で、その理由について「ウィンブルドンの観客は、実施されている感染予防措置をほぼ順守していたとの報告があったが、ウェンブリー競技場では、準決勝と決勝の試合前や試合中にコンコースで、観客が密集し、叫んだり、チャントを歌ったりするなどの騒々しい行動が見られた」「トーナメントが進むにつれて、ウェンブリー競技場の観客はマスク着用などの予防策に従わなくなった」などと指摘。その結果、「コンコースの二酸化炭素濃度は、野外ロック・フェスティバルの混雑した場所よりも高く、かなりの高リスクになっていた」と記している。

 さらに報告書は、イングランド代表の決勝進出により、1966年に行われた自国開催のワールドカップ以来55年ぶりの国際主要大会制覇への期待が高まったことが、「一生に一度」の高揚感をもたらしたと強調。「他のサッカーの試合も含め、その他のスポーツイベントと同列に扱うことはできない」としている。

 また、今回の調査ではそもそも、観客がどこで感染したかは不明。報告書では午後8時にキックオフとなった欧州選手権の決勝を例に、「観客が競技場に入る前にさまざまな社会活動に従事していた可能性がある。感染の伝播は、イベント自体だけでなく、他の活動で発生した可能性もある。中でも、パブやレストランへの入店が最も高い頻度で報告されている」と説明。つまり、競技場以外で感染した可能性を排除できておらず、「観戦=感染」とは必ずしも言えない。

 以上を踏まえ、報告書の結論は警告とも受け取れる冒頭部分とともに、「イベント会場への往復時にマスクを着用したり、人々が集まってイベントを視聴するバーやパブといった換気の悪い屋内スペースでの混雑を最小限に抑えたりするのが重要。イベントの主催者はコンコースや会場への出入り口などで観客の密度を管理する対策を検討する必要がある」と締めくくっている。

 会場内でのマスク着用や、会場への直行直帰の励行、分散入退場などは、日本のプロ野球やJリーグでは既に導入され、徹底されている施策。会場で騒いだり、叫んだりする行為も禁止されている。「他山の石」にはすべきだろうが、欧州選手権での感染爆発事例は、そのままただちに日本のプロスポーツにはあてはめることはできない気がする。

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