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【野口裕之の軍事情勢】9・11の予兆を米CIAに通報できる凄腕・仏諜報機関がついていけぬテロリストの進化

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【野口裕之の軍事情勢】9・11の予兆を米CIAに通報できる凄腕・仏諜報機関がついていけぬテロリストの進化

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 他には▽イスラム過激思想の宣伝など、協定違反を犯す放送業者への免許取り消しといった制裁に関し、業者の対象を拡大▽国籍剥奪条件など刑の加重▽航空/船舶/鉄道(国際線)の予約記録や客の旅券・身分証など、データに関する自動処理権限▽特定の治安当局者による行政ファイルへのアクセス…。今夏には、裁判所の令状なしに電話の盗聴や通信傍受が行えるようになった。

 さらに今回同様、非常事態宣言が発動されれば▽令状なしでの家宅捜索▽報道規制▽国境封鎖・夜間外出禁止を含む人や車の往来制限▽集会の禁止▽飲食店閉店…を命じられるが、発動要件は高い。

 今次テロを受け、仏政府も憲法・法律改正や要員拡充をはじめ、より強硬な対抗策整備を目指すが、一連の整備と整備後の動きは憲法裁判所や議会、外部が注文を付けられぬ複数の完全独立機関が厳しく吟味する。人間の権利・自由を阻害する行為を民主主義は嫌う。既述した対テロ関係法や非常事態宣言は反対され、原案を薄めて発効した条項も多い。民主国家の採り得るノリシロは次第に狭まっているのである。間隙を縫い、テロリストは民主主義とIT社会を悪用し進化を止めない。

 国家・国民の生存を前に法律が一時沈黙できるか…わが国国会での空想的憲法論議のはるか前方を、欧米民主国家は問い掛け、苦悩しながら歩いている。(政治部専門委員 野口裕之/SANKEI EXPRESS

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