消費増税1年 付加価値、経済構造にくさび 消費冷え込み景気回復に遅れ
更新予兆がなかったわけではない。4月以降、総務省の家計調査(2人以上世帯)では、駆け込み需要の反動減で実質消費支出が前年同月を下回り続けた。ただ生産や設備投資の指標はマイナス一辺倒とはいえず、97年4月の前回増税時も7~9月期GDPはプラス。「今回もプラスにはなるだろうとの先入観があった」(湯元氏)
今回の増税で特徴的だった景気回復の遅れ。その底流には、長きにわたる円高とデフレにむしばまれた日本経済の構造変化がある。
「当時は、もうダメだと思った」。愛知県豊田市、自動車大手の2次下請け部品会社の経営者(47)は、リーマン・ショック以降の一時期、生産が以前の6分の1まで激減した経験を思い出す。世界的な生産台数の急減に加え、円高対応で取引先が海外に生産拠点を移したためだ。
大手メーカーは現在、軒並み過去最高益を記録するが、下請けの仕事量はリーマン前の7割程度。足元の円安基調で日産自動車やホンダが国内に生産の一部を戻す動きもあるが、ある部品メーカー経営者は「1ドル=120円でも国内に生産を戻さない企業もあると聞いた」と、ため息をつく。
消費構造も一変した。市場調査会社、インテージの中村勇揮氏は「前回増税では現役として消費を牽引(けんいん)したシニア世代は、今回の回復も早かった」と話す。一方で、今回の牽引役と期待された現役世代は所得の伸び悩みから「回復のエンジンとしては力強さを欠いた」(中村氏)。
実質賃金が減少
流通環境の変化も若者の防衛意識を助長する。コンビニエンスストアを中心に自主企画(プライベートブランド、PB)商品が店舗の棚をにぎわし、価格比較がしやすいネット通販の市場規模(経済産業省)も2013年までの直近5年間で1.8倍以上に拡大した。

