【G20】為替介入の「正当化」に政府・日銀は安堵?!
更新政府・日銀は、G20で為替レートの過度な変動が経済に悪影響を与える場合、為替介入が正当化されるとのムードが高まったことに手応えを感じている。
昨年末に1ドル=120円台だった円相場が4月に入り、中国経済の減速懸念や米国の追加利上げ観測の後退などの影響で、一時107円台をつけるなど急速に円高が進行していた。第2次安倍晋三政権の発足からほぼ一貫して進んだ円安基調が、株価上昇や企業収益の改善、物価上昇に大きく寄与してきただけに、今後の日本経済の回復がさらに遅れるとの懸念が高まっていたからだ。
市場では政府・日銀の為替介入、追加緩和観測が流れていたが、自国通貨安誘導に批判的なG20を前には動きにくく、手詰まり感が出ていた。こうしたなか、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は14日の記者会見で、急速に進む円高に対し「市場の変動が非常に激しい場合に限って為替介入は正当化される」と述べた。麻生太郎財務相が急激な円高には為替介入も辞さない構えを示していただけに、日本政府への“援護射撃”となった。
為替水準は、ここ2~3日、落ち着きを取り戻し、109円台半ばで推移している。ただ、原油価格の動向が不安定になれば、リスクオフの姿勢が世界的に広まり、安全資産とされる円を買う動きが進み再び円高が進む可能性もある。政府は為替介入も視野に当面、金融市場の動きを注視していく。(飯田耕司)
