【検証 異次元緩和(下)】市場を振り回してきた日銀サプライズ戦略 黒田総裁の武器「分かりやすさ」に陰り
更新◆薄れた明快さ
一方、市場との対話を促す上で重要な「分かりやすさ」が薄れてきていると感じる市場関係者は多い。
日銀は今回、市場に供給するお金の「量」から、長期と短期の「金利」に政策の軸足を移した。当初からの大量の国債買い入れにマイナス金利政策が加わり、さらに新たに長期金利を政策目標に据えたことで、政策の枠組みがどんどん複雑化しているのは否めない。
決定内容が伝わった21日の外国為替市場では当初、一時1ドル=102円台まで円安ドル高が進んだが、時間の経過とともに「緩和拡大ではない」との見方が広がって反転。その日の夜には1ドル=100円台まで円高ドル安が急加速した。
約3年半前。日銀は異次元の緩和策を決めたが、就任したばかりの黒田総裁は「2年で2%の物価上昇」などと明快な目標を打ち出した。2014年10月の追加緩和でも市場に流すお金の量を大幅に増やすことで、株高・円安を演出した。
だが、今年に入ってからは発表後に市場の解釈が分かれる決定が散見される。
「黒田総裁が登場したときは『分かりやすさ』がキーワードの一つだった。そうした長所が見えなくなってきているのではないか」
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジストはこう心配する。

