経済インサイド

総務省と自治体の対立いまだ…ふるさと納税、見えない「着地点」

 高額品や地域と直接関係のない返礼品が後を絶たない「ふるさと納税」の実態に対し、総務省は12市町村について8月までに見直す意向がないとして自治体名を公表した。ただ、公表された自治体からは、「事業者との調整に時間がかかる。公表はいきすぎだ」との不満もくすぶる。中には、返礼品の一部を見直さないなど、総務省に真っ向から反発する自治体も出ている。

 総務省によると、平成29年度の寄付総額が過去最高の3653億1666万円。生まれ故郷に税金を納めたいという地方出身者の要望に応えるために創設された特例的な制度は、「返礼品がもらえるお得な制度」との認知が広がり、今や、巨額のマネーが動く。

 30年度の住民税が軽減されるのは296万人で、減税額は前年度比1.4倍の2448億円になる。寄付額が減収額を上回る“黒字”は35道県。減収額が上回る“赤字”は東京や愛知など12都府県で、地方への税収移転がうかがえる。

 一方、「不毛な自治体間競争を引き起こす」と返礼品競争への批判は根強い。29年度は返礼品の調達費用が寄付額の38.5%を占めており、送付や決済、事務手数料などを含めると、55.5%が経費として消えた。制度を所管する総務省には、「税の公平性の観点から問題があり、絶対利用しない」という職員すらいる。

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