SankeiBiz for mobile

中東からナウルへ、難民ら将来描けず絶望 豪が入国阻止、収容施設へ移送

記事詳細

中東からナウルへ、難民ら将来描けず絶望 豪が入国阻止、収容施設へ移送

更新

 世界最小国の一つ、南太平洋の島国ナウルには、中東などから海路でオーストラリアを目指したがたどり着けなかった難民らが生活する。オーストラリアは密航者の入国を阻止するためナウルに収容施設を設け、2013年以降だけで約1600人を移送した。難民認定されても受け入れを拒否しており、難民らは将来の展望を描けず絶望感に打ちひしがれている。

<< 下に続く >>

「地獄から地獄に」

 面積約21平方キロ、人口がわずか約1万1000人のこの島には現在、約900人の難民らが暮らす。「結局、地獄から地獄に来たようなもの」。イスラム教の宗派対立などによるテロが頻発していたイラクの首都バグダッドを13年9月に離れた男性が打ち明けた。

 トルコを経由し、インドネシアから船に乗り命がけでオーストラリアに渡ろうとしたが、国境警備当局に阻まれた。

 オーストラリアは毎年、一定数の難民や移民を受け入れてきたが、密航船の急増を受け対策を強化。01年以降、海を渡ってくる密航者を近隣のナウルなどに設置した収容施設に送り、国外で難民申請を審査する政策を取っている。

 その見返りとして、これといった産業のないナウルに国内総生産(GDP)の35%に相当する金額を供与。人権団体などは「難民受け入れのアウトソーシング(外部委託)」と非難する。

 イラクから逃れてきた男性は、施設では「職員に手荒く扱われ、まともな医療も受けられなかった」と劣悪な生活環境を振り返った。難民認定され7月から理髪店で勤め始めたが、ナウルは難民の定住を認めていないため、いつまでも続けられない。買い物に行けば、万引きを警戒する店主に後をつけられ「差別されている」と訴える。

 難民認定後は難民居住区に移り、働くこともできるが、収容施設に留め置かれるケースも。施設には現在、難民申請の審査を待つ人を含め約200人が生活している。

トランプ政権も影響

 オーストラリアは密航者を断固受け入れず、母国に帰国するか、第三国への移住を促す。難民認定された収容者1250人を移住させる枠組みで米国と16年に合意したが、トランプ政権は厳しい移民政策を取っており、移住がかなったのは約370人にとどまる。

 イラン出身のモハマドさんも難民認定は得たものの、最近まで5年間、施設で生活させられた。米国がイラン核合意から離脱して両国関係が悪化し、米国移住の道は絶たれた。イランに戻るつもりもない。

 「将来に何の希望も持てないことがつらい」とため息をついた。(ナウル 共同)

ランキング

Facebook Messanger登録

あなたに合わせたニュースを毎日お届け

Facebook Messangerを登録した時のイメージ画像です