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【経済インサイド】国債消化で日本に“指南”求める 貿易戦争で苦しい中国、財政政策拡大か

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【経済インサイド】国債消化で日本に“指南”求める 貿易戦争で苦しい中国、財政政策拡大か

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 日本の国・地方の長期債務残高の対GDP比は18年度末に198%へ達する見込みで、先進国でもずば抜けて高い。しかし、長期金利の指標となる新発10年国債の利回りは0.1%程度という低さで推移し、市場は全く混乱も起きていない。中国側は、日本がなぜ低金利で国債を発行し続けられるのか、その理由を知りたがったのだ。

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 「一つは、日銀が金融緩和政策で(金利を押さえ込む)『イールドカーブ・コントロール』を続けていることが大きい。もう一つは、日本が(民間部門の資金が余る)『貯蓄超過』で、金融機関が預貯金を原資に国債を買い支えることができているからだ」

 日本側の出席者はこう説明し、さらに付け加えた。

 「ただ、同じ状況がずっと続くかは分からない。今後、高齢化が進めば(貯金の取り崩しなどで)貯蓄超過は減る。そうなると、国債の消化は、国内でなく海外の投資家に求めざるをえなくなる。(運用成績を重視する)海外投資家は、より高い金利を求めてくるかもしれない。また、政府の財政健全化努力に対し、市場の信認があることも大きい。疑いを持たれたら、状況は変わる」

 「そうですか」とだけ、中国側の出席者は答えたという。だが、同席した財務省幹部の一人は、「中国当局は自国の経済を楽観していないな」と感じた。日本を参考に、国債発行を増やして財政政策を加速し、景気を浮揚させる-。中国側の念頭には、こうしたシナリオが浮かんでいる可能性が高い。

 積極財政に舵

 実際、すでに習政権は、財政政策重視へカジを切り始めている。今年9月、国際経済の展望を話し合うため天津市で開かれた「夏季ダボス会議」で、李克強首相は米国との貿易摩擦を念頭に「国際貿易環境に明らかな変化が生じ、経済の安定運営は困難さを増している」「合理的、有効な投資は進める」と発言。金融緩和や減税、インフラ投資の拡大を進めていくことを示唆した。

 これは、今年に入り、習政権が財政拡張路線をやめようとしていたこととは逆方向への動きとなる。

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  • 日中財務対話に出席した麻生財務相(左から2人目)=8月31日、北京の釣魚台迎賓館(共同)

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