海外情勢

外資系SU支援、日本進出加速 開業率アップヘ高まる存在感

 日本貿易振興機構(ジェトロ)がまとめた「対日投資報告2018」によると、海外でスタートアップ企業支援で実績のある外資系企業の日本市場への進出が加速している。スタートアップの支援で実績のある米プラグアンドプレイが昨年、日本法人(東京都渋谷区)を立ち上げ、18年も外資系企業による支援のための進出が相次ぎ、その存在感を高めている。

 ジェトロ調査によると、日本の開業率は欧米に比べ半分程度と低い。これは米シリコンバレーや中国・深セン市に比べ、スタートアップの成長段階に応じたベンチャーキャピタル(VC)や支援機能が遅れているのが課題という。こうした中でジェトロは、豊富な経験を持つ外資企業の進出が「日本のスタートアップ支援の環境整備に貢献している」と分析した。

成長に応じた教育

 事務所や会議室などを共有しながら利用者それぞれが独立した仕事を行うコワーキングスペース運営の米ウィーワークが日本に進出。18年2月に東京・六本木に拠点を開設し、銀座、日比谷など6拠点を構える。共同オフィスを使えば創業間もない企業は初期投資を抑えられ、入居者同士の交流を通じて、アイデアを具体化できる利点も生まれる。

 オランダの大手会計事務所の日本法人、KPMGジャパン(同千代田区)や、アイルランドに本部を置く経営コンサルティングファームの日本法人、アクセンチュア(同港区)も相次ぎ拠点を開設した。

 シリコンバレーのVC、Yコンビネーターも9月に日本初の公式イベントを開催。インターネットを通じて不特定多数から資金を調達するクラウドファンディングも行われている。

 シリコンバレーの活力を生む原動力は「エコシステム」と呼ばれる仕組みにある。起業家やスタートアップを成長段階に応じて育てる、資金や人材、アイデアが豊富にある。VCの多くは、これはと見込んだ起業家に資金だけではなく、メンター(助言者)やエンジニア、経営のプロ、時には販売先の人材を紹介し、支援する。

 支援された企業も成長すると経営指南などで支援する側に回る、好循環が強みだ。

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