マネジメント新時代

2019年は新モビリティー創造の年

既に萌芽が現れている

 具体的にはどのようなモビリティーがふさわしいかと想像するに、地下鉄のように地下深く潜るのではなく、地上にてトラムを連結した大型バス風の電気自動車(EV)のようなものがよいのではと思っていた。そのような中、なんと、名古屋市は18年12月中旬、「バス高速輸送システム(BRT)」として検討していた新公共交通機関の計画を発表した。「スマート・ロードウェイ・トランジット(SRT)」という名称で、自動運転や制御技術を取り入れた、未来型のバスをイメージしたものである。27年のリニア中央新幹線開業時に全面開通できるよう、事業計画の策定を目指すようだ。

 また、全く別の発想であるが、米EV大手テスラの最高経営責任者(CEO)を務める実業家、イーロン・マスク氏は、採掘会社ボーリングを設立し、ロサンゼルス郊外の地下に完成させた高速地下交通システムの試験トンネル開通イベントを公開した。「ループ」と呼ばれる新交通システムは、地上からエレベーターでEVを地下に下ろし、台車の上にセットすると、時速約200キロで地下トンネルを移動できる。ドライバーは直接運転する必要がない。渋滞解消を狙ったマスク氏のアイデアであり、将来が楽しみである。

 このように、既に動き出している企業や団体もあり、19年は人口の都市化に対して、モビリティー関係者、都市計画・建築の専門家、自治体関係者などが集まり、独自の知恵やアイデアを出しながら、その地域にどのような新モビリティーを創造していくのか、議論することがよいのではないだろうか。交通インフラは計画から実行まで長い時間と多大な費用を要するため、長期戦略を立てて進めていく必要があろう。

【プロフィル】和田憲一郎

 わだ・けんいちろう 新潟大工卒。1989年三菱自動車入社。主に内装設計を担当し、2005年に新世代電気自動車「i-MiEV(アイ・ミーブ)」プロジェクトマネージャーなどを歴任。13年3月退社。その後、15年6月に日本電動化研究所を設立し、現職。著書に『成功する新商品開発プロジェクトのすすめ方』(同文舘出版)がある。62歳。福井県出身。

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