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【ビジネス解読】相次ぐ不祥事、元気のない日本経済…だからこそ学びたい、渋沢栄一の思考

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 経営トップの逮捕や品質管理問題など、日本企業のガバナンスの欠如やモラルを疑う事件や問題が後を絶たない。政府統計の不適切調査や不祥事の隠蔽もそうだし、日本でGAFA(ガーファ)といわれる先進IT企業が誕生しないことを憂う声も強い。こうした中で、日本の「資本主義の父」と呼ばれる渋沢栄一氏(1840~1931年)が脚光を浴びている。没後87年以上、渋沢栄一に学ぶものは何か-。

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 渋沢の意志受け継ぐ日本企業

 渋沢氏は、中央銀行の役割を担った「第一国立銀行(現・みずほ銀行)」や、女子高等教育の先駆けである「日本女子大学校(現・日本女子大)」の創立に深く関わったことはよく知られている。

 実際には、渋沢氏は金融や海運、鉄道、通信、繊維、製紙、素材、造船、化学、エネルギー、商社、新聞社など約500の企業、証券取引所や業界、経済団体など600の組織、さらに大学の創立に関わっている。東京商工会議所が独自に調べたところ、渋沢氏は生涯に481の企業の設立に関わり、さらに驚くことには、このうちの296社が創業から平均120年を超えて、現代も存続していることが分かった。企業の平均寿命は30年、最近ではもっと短いといわれているから、まさに驚異的だ。

 業界再編による合併や経営統合などで、会社数は185社になったが、「これらの会社の存在そのものが、企業理念の形で渋沢氏の意志を現代につなげている」と、東商の三村明夫会頭(新日鉄住金名誉会長)は語る。昨年、創立140周年を迎えた東商もまた、渋沢氏が明治11(1878)年に創り、自ら初代会頭に就いた前身の東京商法会議所が始まりだ。

 4代目東京商工会議所ビル

 少し寄り道になるが、11年前の東商の創立130周年特別企画「写真で見る 東商今昔物語」の資料によれば、東商の前身の東京商法会議所の発祥の地は、「京橋区木挽町10丁目」(現・東京都中央区銀座6丁目)で、「東京商工会議所発祥の地」の記念碑が建立されている。

このニュースのフォト

  • 日本商工会議所の三村明夫会頭(寺河内美奈撮影)
  • 新しい東商ビルの落成記念式典=平成30年12月3日、東京都千代田区(大塚昌吾撮影)
  • 東京商工会議所の創立140周年を記念した新本部ビル。お披露目された東商ビルは4代目となる=平成30年12月3日、東京都千代田区
  • 東京商工会議所1階フロアで開かれている企画展「受け継がれる渋沢栄一の精神」=東京都千代田区(東商提供)
  • 赤レンガ東商ビル

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