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【主張】リクシル人事混迷 創業家支配の脱却を急げ

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 住宅設備大手のリクシルがトップ人事で混迷を極めている。創業家出身の潮田洋一郎会長兼最高経営責任者(CEO)が後任未定のまま、辞任を表明し、株主から不信の声が上がっている。

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 潮田氏が瀬戸欣哉前社長に退任を迫り、自らトップに復帰した昨秋の人事が混乱の発端だ。一部の機関投資家が異議を表明し、来月の臨時株主総会で潮田氏の解任を求める事態に発展していた。

 潮田氏が総会前に身を引いたようにも見えるが、これで決着したわけではない。瀬戸氏はCEO復帰を求めて潮田氏と対立しており、6月の定時株主総会で改めて人事案が討議される予定だ。

 こんな泥仕合が続くようでは企業価値は損なわれるばかりだ。混乱を早期に収拾するには創業家による経営支配を脱し、トップ選任の透明化を含めた企業統治をいち早く確立する以外にない。

 潮田氏は5月20日付で取締役を退任し、6月でCEOなどの役職も辞任する。山梨広一社長も6月の総会で取締役を退く。他の株主やリクシル取締役の一部にも潮田氏の解任に賛成する動きがあり、潮田氏に対する包囲網が狭まる中で自ら退任を表明した格好だ。

 昨秋のトップ交代は、瀬戸氏の経営に不満を持った潮田氏が主導した。だが、瀬戸氏はもともと潮田氏が外部から招いた人材だ。第三者委員会の報告書では、社外取締役が中心の指名委員会は適切な情報が示されないまま、潮田氏の意向で瀬戸氏の退任が決まったことが明らかになっている。

 企業統治指針では社長の選任手順の透明化を求めている。つねに複数の候補者を準備し、指名委員会などを通じ、時間をかけて次代の経営を担う社長を選ぶ仕組みが望ましいとしている。そこでは説明責任も問われる。

 しかし、リクシルでは創業家出身の潮田氏が人事を差配していた構図が鮮明となった。株式を公開した上場会社は、創業家の所有物ではない。トップ人事の選任過程が不透明なままでは株主に対する説明もできまい。上場会社としての企業統治が機能不全に陥っている事態は深刻だ。

 潮田氏は積極的な海外進出を目指したが、平成31年3月期決算ではイタリア子会社の損失計上に伴い、530億円の最終赤字に転落する見通しだ。人事の迷走に時間を費やしている場合ではない。

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