国内

仮想通貨 顧客保護策を例示 日本、G20で議論主導

 日本が議長国として6月に福岡市で開催する20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、仮想通貨の流出防止対策など、各国の規制に活用できるツールキット(手引書)を策定する議論を始めることが21日、分かった。年内にも取りまとめる。国境を越えて取引されるという仮想通貨の特徴を踏まえ、各国の規制水準の引き上げを促すことで、安全かつ公平な取引環境を整備するのが狙い。昨年2度の大規模流出事件が起きた日本の経験を共有する。

 仮想通貨の規制をめぐってはマネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金供与を防ぐための国際的なルールの整備は進んでいる。一方、顧客資産の保護や市場の健全性確保の観点でのルールはなく、一定の考え方が国際的に共有されるのは初めて。

 手引書では(1)顧客の資産を保護するうえでの必要な対応(2)サイバー攻撃への対策(3)顧客への情報提供のあり方-など、各国が自国で取り組む際に参考となる法規制のあり方などを例示する。

 仮想通貨の規制をめぐっては、取引を禁止している国もあれば、将来の技術革新の芽を摘まないように過度な規制には後ろ向きな国もある。共通のルールを設けることは困難なことから、手引書という形式を取り、それぞれの国に合った形でノウハウを取り込んでもらい、規制水準の底上げを図ることとした。

 日本では昨年1月と9月に多額の仮想通貨が流出する事件が発生。その際、事業者の資産管理方法や、サイバーセキュリティー対策などが不十分な実態が明らかになった。交換業者に顧客資産の保護を徹底させるため、金融庁は今国会で金融商品取引法と資金決済法の改正を目指している。

【用語解説】仮想通貨

 インターネット上で取引される財産的な価値を持つ電子データ。円やドルといった法定通貨とは違い、硬貨や紙幣などの実体はない。公的な発行主体や管理者は存在せず、「ブロックチェーン(分散台帳)」という技術を使い、ユーザーが相互に監視することで偽造などを予防している。一部の店舗で支払いに使うこともできるが、現状は投資目的の保有が大半とされる。金融庁は、国際的な動向を踏まえ、法令上の名称を「暗号資産」に変更する方針。

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