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最低賃金上げめぐり政府内で対立 新浪氏「5%」主張に菅長官同調、世耕経産相は「3%」譲らず

 最低賃金の毎年の引き上げ水準をめぐる政府内の意見対立が17日、明らかになった。14日の経済財政諮問会議では、民間議員の新浪剛史サントリーホールディングス(HD)社長が「5%程度」を主張し、菅義偉官房長官も同調。これに対し、世耕弘成経済産業相は中小企業の人件費負担を考慮し、政府方針の「3%程度」を踏まえて検討すべきだと反論した。結局、会議としての結論は出ず、最低賃金の引き上げ議論の難しさが浮き彫りとなった。

 意見の対立は、政府が17日公表した会議の議事要旨で明らかになった。現在の政府の目標は、最低賃金を毎年3%程度引き上げ、将来的に全国平均1千円を達成するというもの。民間議員は会議に、「より早期に1千円を目指すべきでは」とする提言書を提出した。

 議論の口火を切ったのは新浪氏で、景気の悪化懸念が強まる中、消費の下支えに向け、「もっとインパクトを持たせるため5%程度を目指す必要がある」と主張。人件費捻出のため業務効率化を促し、「全国的に低迷している生産性の向上につなげていくことが重要だ」とした。一方、必要な中小企業の支援策を秋までに策定すべきだともした。

 この意見には、菅氏が「私の言いたいことは新浪議員が全部言ってくれた」と賛成。「所得を上げ消費を拡大することが、ものすごく大事」と述べ、引き上げの環境を整えるため「いろいろな対策」を講じるべきだと述べた。

 これに対し、世耕氏は「保守的に申し上げるが、中小企業・小規模事業者の現場では現行の(3%の)引き上げペースが精いっぱいだ」と反論。「(従来の)政府方針を踏まえながらペースを検討していく必要がある」と話した。民間議員の中西宏明経団連会長も「地方の声はなかなか厳しい」と指摘した。

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