論風

新段階に入った国際石油市場 サウジの次の一手に注目

 原油相場の先行きに不透明感が高まっている。油価は上昇するのか、下落するのか、どちらもあり得る。今の相場は、正反対の値動きをもたらす力が拮抗(きっこう)しているが、今後の展開次第で市場は大きく動く。そこで世界が注目するのは石油需給調整で重要な役割を果たすサウジアラビアの次の一手だ。(日本エネルギー経済研究所常務理事・小山堅)

 年初から油価は上昇してきた。昨年末、供給過剰感と世界経済リスク懸念を受けてブレント原油は1バレル=50ドル割れ寸前となった。それに対応し石油輸出国機構(OPEC)にロシアなどの産油国を加えたOPECプラスが協調減産を実施、それが奏功して油価は反転上昇、4月には70ドル台に復帰した。しかし、4月末以降、米国が打ち出した対イラン、対中国強硬姿勢の影響で国際石油市場は新段階に入った。

 増産要請無視できず

 4月末、米国は日本などに180日間認めていたイラン原油輸入に関する経済制裁一時適用除外撤廃を発表した。5月2日以降、イラン原油輸入に関与する企業は米国の経済制裁対象となる。米国はイラン原油の全面禁輸方針を打ち出した。イランは最近まで日量110万バレル強の原油を輸出してきた。この輸出がどこまで減るかで世界の石油需給バランスは大きく影響を受ける。加えて政治・社会情勢の混迷が深刻化するベネズエラでも減産が続いている。これらの供給低下で油価が高騰するとの思惑から4月末にはブレントは今年最高値の74ドル台を付けた。

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