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大麻合法化の波、「最大の消費地」でも陰り 解禁州では問題続出

 クオモ氏は5月28日、「娯楽用大麻の合法化はいまだ優先課題だ」として州議会との交渉を続ける考えを示したが、先行きは不透明だ。

 一方、ニュージャージー州では、マーフィー知事(民主党)が17年に娯楽用大麻の合法化を公約に掲げて当選し、州議会との交渉を続けてきた。

 だが、一部議員から未成年者による使用や運転への影響などを懸念する声が高まり、今年3月に予定されていた合法化法案の採決は取りやめとなった。代替案として、州議会は5月末に医療用大麻の流通を大幅に拡大させる法案を可決。娯楽用大麻については来年の住民投票実施を目指すとしている。

先行州では問題続出

 トップが合法化論議をリードしているにもかかわらず、両州で審議が難航した背景には、すでに合法化に踏み切っている各州での問題点が広く知れ渡り、反対派などとの協議がいっそう困難になった-との事情がある。

 米国ではすでに西部カリフォルニア州など計10州と、首都ワシントンがあるコロンビア自治区で娯楽用大麻が認められている。ただ、東部バーモント州をのぞいては住民投票で解禁が認められたこともあり、行政側の対応が後手に回っているのが実情だ。

 14年に全米で初めて娯楽用大麻を合法化した西部コロラド州では、大麻使用に絡む救急外来の件数が増加したことが、今年3月に発表された米医学誌の論文で明らかになった。同州のある病院を調査したところ、12年には大麻が原因とみられる救急外来数は約250件だったが、16年には750件以上と約3倍に増えたという。論文では、クッキーやキャンディーなどの「大麻入り食品」の危険性も報告されている。

 また、大麻の合法化論では、犯罪者が闇市場から利益を得るのを防ぐ効用が挙げられることが多いが、18年に合法化したカリフォルニア州の場合、現在も約8割の大麻が闇市場で流通しているとされる。大麻販売を認めていない地域が多いうえ、税金が高額で想定されていたよりも正規の取扱店が少ないことなどが理由とされる。昨年は大麻からの税収が想定を下回ったとされ、合法化の意義が疑問視されている。

 ただ、米国では、若者を中心に大麻の合法化を求める声は大きい。米世論調査会社ピュー・リサーチ・センターが行った昨年10月の調査によれば、米国人の62%が大麻の合法化を支持すると回答。2000年前後かそれ以降に社会人となった「ミレニアル世代」(1981~97年生まれ)では74%に上っている。

 こうした声に呼応するように、来年の大統領選に向けた民主党候補の指名争いでも、急進左派のサンダース上院議員が連邦レベルでの合法化を訴えるなど争点に浮上。大統領選に向け、大麻の是非をめぐる議論はさらに活発化していくことが予想される。(産経新聞ニューヨーク支局 上塚真由)

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