海外情勢

米、タンカー攻撃は「イランの責任」 包囲網へ国際社会の理解狙う

 【ワシントン=住井亨介】イラン沖のホルムズ海峡近くでタンカー2隻が攻撃を受けた事件をトランプ米政権は「イランの責任」と断定し、国連安全保障理事会で対応を協議するよう要請した。これには、対イラン圧力を強めてきた米国の立場に国際的な理解を求め、包囲網を一挙に固める狙いがあるとみられる。

 イラン核合意から離脱して経済制裁を再開した米国は先月、イラン産原油の全面禁輸に踏み切り、中東に駐留する米軍や米国の権益にイラン側が攻撃する可能性があるとして空母打撃群を同地域に派遣するなど強硬な姿勢を取ってきた。

 米国にとり懸案のイランの核・ミサイル開発、地域の武装勢力に対する支援を封じるには国際社会が一致して制裁に取り組む必要があるが、核合意の堅持を目指す欧州とは溝が解消されないままで、支持の取り付けが急務となっていた。5月14日にサウジアラビアなどの商船4隻が受けた「破壊行為」の後、米政府が対話ムードを醸成しようとしてきたのも、そうした背景があるとみられる。

 ただ、今回のタンカー攻撃は、イエメンの親イラン武装組織「フーシ派」が12日にサウジアラビア南西部の空港を攻撃した直後だっただけに、米国は態度を硬化させた。安倍晋三首相に対し、イラン側が米国との対話を拒否したことも加わり、13日に記者会見したポンペオ米国務長官は「全世界が(イランの)脅威を目の当たりにすることになった」と述べ、イランが国際的な不安定要素となっていると強調した。

 米国は、タンカー攻撃が親イラン武装勢力などではなく、「国家レベル」の関与が濃厚だと示唆。イランが対話に背を向けてテロ行為を続けているとの主張を国際社会に訴え、「最大限の圧力」に理解を求めていくとみられる。

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