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経済界・スタートアップ 協業探る 経団連など会合 資金力と迅速さ補完

 “使い倒し”警戒

 しかし、実際に大企業との協業を始めたスタートアップ側からは、大企業の意思決定の遅さなどを指摘する意見もある。ソニーから転じたプリファードの長谷川順一最高執行責任者(COO)は大企業とベンチャーの特性を熟知する一人だ。経済同友会の夏季セミナーに招かれ、同社幹部が週に100本以上の論文を読みこなし競争に挑む中で、「大企業は担当者が変わると方針が変わり、ベンチャーを使い倒そうという思惑も見え隠れする。大企業の政治でベンチャーを振り回すべきではない」と苦言を呈した。

 経団連スタートアップ委員会の政策タスクフォース座長を務める出雲充ユーグレナ社長は、8月にスタートアップの成長を促進する上場市場のあり方についての提言を発表。「提言公表まで異例の早さでありがたい」と話したが、今後、経団連内でその提言をどう実行につなげるかなど内なる改革も求められている。

 一方で、大企業とベンチャーの協業による新サービスの実用化には、政府の規制緩和も欠かせない。

 米国発ベンチャーのドローン(小型無人飛行機)による輸送サービスが、インフラ不足の課題先進国ながらも規制緩和を進めたアフリカのウガンダでいち早くサービスを開始し、輸血用血液の輸送で人命救助に役立っているのは典型的な事例だ。自動車業界は、次世代モビリティー分野の規制緩和を進めなければ業界全体が生き残れないと危機感を示す。(上原すみ子)

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