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地方移転優遇税「目標の1%」 政府、内容見直し期限延長も

 東京の企業が地方への移転か地方拠点を拡充すると税金が軽くなる優遇税制は、創設された2015年度から17年度までの3年間で企業の利用が計74件だったことが分かった。20年までに7500件の移転・拡充を目指す政府目標の約1%。集計した内閣府は「優遇を受けられる要件が厳しく、利用が進まない」と説明している。

 この税制は、東京一極集中を是正する地方創生の目玉政策。19年度末に期限切れを迎えるため、内閣府は年末の税制改正で内容を見直して延長したい考えだが「減税を理由に地方移転する企業は少ない」との指摘があり、利用増につながるかどうかは不透明だ。

 優遇税制は、事務所などを東京23区から地方に移すか、地方に元々ある拠点を拡充した企業が対象。企業側が具体的な移転・拡充の内容を示した計画を作成し、移転先の都道府県が認定すれば、地方で増やした設備投資額や雇用数に応じて法人税が軽くなる。

 現在はオフィスを新増築しないと設備投資として認められない。内閣府は20年度から、施設を借りた場合も対象とし、室内改装などの費用も含めたい意向だ。地方で雇用を増やしても、東京本社などで減員があれば税の控除額が圧縮される難点もあり見直す方針だ。

 内閣府によると、企業側が移転・拡充の計画を作成して都道府県の認定を受けたものの、優遇税制を利用しなかったり、今後優遇を受けたりするケースもある。これらを含めても移転・拡充は17年度末時点で約200件、今年9月末時点で365件と、目標の7500件には遠く及ばない。

 東京一極集中の是正に向け、政府は企業だけでなく政府機関の地方移転も進めるとしているが、文化庁以外に全面的な移転は実現していない。

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