激動ヨーロッパ

欧州中銀にドイツの壁 新総裁ラガルド氏の手腕は

 ドイツの場合、第1次世界大戦後、巨額の賠償金への対応などのため、お金を大量に発行したことでハイパーインフレが発生。社会が混乱し、ナチスの台頭を招く背景になったとの反省から、第2次大戦後は物価の安定を優先し、中銀は大胆な金融緩和を控えた。財政政策とも距離を置き、中銀の独立性が重視された。

 ドイツは単一通貨ユーロの導入で戦後の「誇り」としてきた独自通貨のマルクを手放したが、ECBへの最大出資国。総裁ポストこそ握ったことはないが、影響力は強く、ECBは「ドイツ式」の金融政策を引き継いできた。それを打ち破ったのがイタリア出身のドラギ氏だった。

 ドラギ氏はユーロ圏のデフレ入り懸念が高まると、国債などを市場から買い取る量的緩和やマイナス金利といった金融緩和策をECBとして初めて実施した。独紙フランクフルター・アルゲマイネは、「ドイツを模範」としてきたECBの政策を、ドラギ氏がより柔軟な「米国型の路線」に転換したと批判。独出身のECB理事は抗議のために辞任した。

■お膳立てはできた

 ラガルド氏はそんな不穏な状況下で就任した。今回の金融緩和で、ECBの打つ手がほぼ尽きたとみられていることから、ラガルド氏は景気を下支えするための財政刺激策に期待を寄せるが、ドイツは慎重姿勢を崩さない。

 ただ、ラガルド氏がドイツを動かせる可能性はドラギ氏よりも高いとの期待もある。米スタンフォード大フーバー研究所のメルビン・クラウス上級研究員は英紙フィナンシャル・タイムズへの寄稿で、ドラギ氏は今回の金融緩和によって、その「お膳立てをした」との見解を示した。

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