海外情勢

サムスン、半導体の野望 非メモリー強化 受託生産でTSMC超え狙う

 第5世代通信規格(5G)の商用化や人工知能(AI)技術の進展に伴い、極端紫外線(EUV)露光装備(リソグラフィー)を用いた次世代半導体の微細加工へのニーズが高まる中、韓国のサムスン電子が大胆な賭けに出ている。10年越しの投資計画により、メモリー半導体量産一辺倒のビジネスから脱却し、ロジック半導体との両輪で、半導体ファウンドリー(受託生産)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)を追い抜くことを目指している。

 EUV市場で激突

 サムスンは2019年4月、今後10年間に約1160億ドル(約12兆7000億円)を投じる事業計画を打ち出した。EUVを採用した半導体製造プロセスに多額の資金を投じ、2500億ドル規模のファウンドリー市場でTSMCを追い上げる。

 半導体受託生産という成長分野で、サムスン電子は比較的劣勢に立たされている。トレンドフォースのデータによると、ファウンドリー市場のシェアは半分余りをTSMCが握り、サムスンは18%にとどまる。

 野村ホールディングスでアジア全体のハイテク調査部門を率いるCW・チャン氏は、サムスンが成功する可能性を算定するに当たり「単なる意欲の問題では済まない。半導体製造は総合芸術のようなものだ。包括的な社会インフラの十分なサポートがなければ、とても達成できる目標ではない」と指摘する。

 サムスンは170億ドルを投じた華城(ファソン)半導体工場の新規半導体ラインに1台1億7200万ドルのオランダのASMLホールディング製のEUV露光装置を数十台設置し、2月の量産開始を予定する。

 TSMCとサムスンはともに今年、EUV採用の5ナノメートル半導体製造プロセスの量産開始を見込んでおり、両社は拡大確実な市場で唯一無二の競争相手となる。シティグループの調査リポートによると、この新規格の次世代半導体の生産が増え、スケールメリットを実現できれば、全行程の所用時間は20%減り、受託生産能力が25%増える可能性が高い。

 サムスンは今後10年にわたり年間約100億ドルを機器や研究・開発に投じる計画だ。TSMCはさらに野心的で、19年と20年に140億ドル前後の設備投資を行う方針だ。

 現代自動車証券のシニアバイスプレジデント、グレッグ・ロー氏は「5G時代入りに伴う新製品向けの受注が殺到し、TSMCは大忙しだ。サムスンにとっては低価格と顧客ニーズに見合う納期を提供することで、市場シェアを拡大する好機をもたらす」と話す。

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