海外情勢

タイ人権活動家失踪相次ぐ 国際団体が当局の関与疑う

 タイで人権活動家らの失踪が続いている。人権活動家によると、当局などが関与した「強制失踪」とみられる事案が1992年以降に86件あった。隣国ラオスでもタイ人活動家が不審死する事件が起きており、人権団体などは懸念を強めている。

 「タイとラオスは、強制失踪を人権侵害の道具として使っている」。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)のアジア局長代理、フィル・ロバートソン氏は、首都バンコクでの記者会見で批判した。

 大半の事案で捜査が進んでいないため、人権団体は当局が関与しているとの疑いを強めており「隣国の政府同士の連携も疑われる」と指摘する。

 バンコクでは昨年8月、ラオスの人権擁護活動に携わってきたラオス人、オット・サヤウォンさんが自宅から外出後に消息を絶った。2004年には人権派弁護士のソムチャイさんが、路上で連れ去られたとの目撃情報を最後に行方不明となった。

 バンコクが拠点のシンクタンク、フォーカス・オン・ザ・グローバル・サウスの幹部、シャルメリ・グッテレさんは「報復への恐怖から家族が訴えない場合もあり、実際はもっと多い」とみる。

 14年には少数民族カレンの活動家、ポーラージーさんが、中部ペチャブリ県で当局の拘束後に行方不明になった。19年になって遺体が見つかり、当局が捜査するが、捜査が行われるのは「珍しい」(人権団体の関係者)。

 ソムチャイさんの妻で、19年に「アジアのノーベル賞」といわれるマグサイサイ賞を受賞した人権活動家のアンカナさん(63)は「家族は被害者が生存しているかどうかも分からないまま、トラウマ(心的外傷)を抱えて生きている」と苦しい心情を吐露した。(バンコク 共同)

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