海外情勢

変わらぬ米イランの対立構図 中東危機前提の対策急務

和田大樹
和田大樹

 新年が明けて早々、米軍がイラン革命防衛隊の精鋭部隊「コッズ部隊」のソレイマニ司令官を殺害したことで、中東情勢が一気に緊張し、世界経済にも大きな激震が走った。その後、イランがイラク西部にある米軍基地を空爆したが、トランプ米大統領は8日、国民向けに演説した中で、イランへの軍事力行使に否定的な見解を示し、必要以上の関係悪化を望んでいないと発表した。

 本格的な軍事衝突の危険性はひとまずは回避されたわけだが、中東で影響力を拡大したいイランとそれを阻止したいトランプ政権の対立構図は依然として変わっていない。トランプ大統領は同演説のなかで、報復措置として追加的な経済制裁を示唆し、2015年のイラン核合意に代わる新たな合意枠組みを作る必要性を強調した。今後も、今回のように緊張が一気に高まり、世界経済に大きな影響を及ぼす恐れは依然として残っている。

 親イラン組織による攻撃に依存

 まず、イランによる非対称戦は今後とも続く。イランは中東を覆う「シーア派の弧」を作るべく、イエメンのフーシ派やレバノンのヒズボラ、バーレーンのアル・アシュタール旅団(Al Ashtar brigades)、イラクのハラカット・アル・ヌジャバ(Harakat al nujaba)やバドル旅団(Badr Organization)、カタイブ・ヒズボラ(Kataib Hizballah)、シリアのリファ・ファテミユン(Liwa Fatemiyoun)などの親イランのシーア勢力を軍事的・財政的に支援し、アフガニスタンやパキスタン出身のシーア派民兵をシリアやイラクに送り込むなどしている。各組織により軍事力や財政力は大きく異なるものの、イランの支援規模は数百万ドルから数十億ドルとも言われ、フーシ派には約10万人、ヒズボラには2万5000人~3万人、イラク・シリアのシーア派民兵には10万人~20万人がそれぞれ構成員として参加しているとの情報もある。

 米軍はカタールに1万3000人、クウェートに1万3000人、バーレーンに7000人、UAEに5000人、イラクに6000人など強いプレゼンスを湾岸地域で見せているが、当然ながらイランは軍事的に米国に勝てないことは熟知していることから、こういった親イラン組織による活動(攻撃)に依存することで、中東での影響力を高め、米国やイスラエル、サウジアラビアを牽制しようとしている。

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