(2)「国土強靱化で災害に強い故郷を」
三 地方創生
(観光立国)
全体で500近い市町村が、今回、ホストタウンとなります。これは、全国津々浦々、地域の魅力を世界に発信する、絶好の機会です。
北は北海道から、南は沖縄まで。アイヌの皆さんが受け継いできた伝統音楽や食文化、琉球舞踊など、わが国が誇る全国各地の地域文化に触れていただく「日本博」を、本年、開催いたします。
国の文化財を積極的に活用できる制度を設け、地域のアイデアによる観光地づくりを後押しします。自家用車による有償の運送サービス制度について規制緩和を行い、外国人観光客の皆さんの地方での足もしっかりと確保いたします。
首里城の一日も早い復元に向け、全力を尽くします。3月には、那覇空港第2滑走路の供用を開始します。発着枠を10万回以上拡大することにより、アジアのゲートウエーとして、沖縄の振興に取り組んでまいります。
オリンピック・パラリンピックに向けて、サイバーセキュリティー対策、テロなど組織犯罪への対策に万全を期すことで、安全・安心をしっかり確保いたします。5年後の大阪・関西万博も視野に、多言語化、Wi-Fi環境の整備など、観光立国の基盤づくりを一気に進めます。高い独立性を持った管理委員会の下、厳正かつ公平・公正な審査を行いながら、複合観光施設の整備に取り組みます。
さらには、外国人観光客の多様なニーズに応える宿泊施設など世界に冠たる観光インフラを整え、2030年6千万人目標の実現を目指します。
(農産物輸出)
世界に目を向けることで、地方に新しいチャンスが広がります。
昨年、欧州連合(EU)への牛肉やコメの輸出は、約3割増えました。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)諸国への乳製品の輸出も、2割を大きく上回る伸びとなりました。甘い「紅はるか」は、シンガポールやタイで大人気です。さつまいもの輸出は、昨年、4割以上増加しました。
先月、中国への牛肉輸出について、解禁令が発出されました。今月発効した日米貿易協定も活かし、おいしくて、安全な、日本の農林水産物の世界への挑戦を、力強く後押しいたします。
農地の大規模化、牛の増産や、水産業の生産性向上など、3千億円を超える予算で、生産基盤の強化を進めます。販路開拓など海外への売り込みを支援します。
神戸牛、ルビーロマン、ゆめぴりか。農家の皆さんの長年にわたる努力の結晶である、日本ブランドを、海外流出のリスクからしっかりと守ります。
豚コレラ(CSF)対策を一層強化します。野生動物の感染が発見された場合にも、家畜伝染病予防法に基づき、移動制限などの蔓延(まんえん)防止措置を実施できるようにします。アフリカ豚コレラ(ASF)についても、海外から持ち込まれる肉や肉製品の検疫を強化し、水際対策を徹底します。
(地方創生)
昨年の台風19号では八ツ場(やんば)ダムが利根川の被害防止に役立ちました。水力発電や農業用水などを目的とするダムについても、緊急時には省庁の縦割りを打破し、一元的に活用するための対策を、全ての一級河川を対象に、この夏までに取りまとめます。
相次ぐ自然災害の教訓を活かし、全国で、川底の掘削、堤防の整備、無電柱化を進めます。送電線の計画的な更新、電力会社、自衛隊、自治体の平時からの連携などにより、強靱(きょうじん)な電力供給体制を構築します。防災・減災、国土強靱化を進め、災害に強い故郷(ふるさと)を創り上げてまいります。
東京から鉄道で7時間。島根県江津市は「東京から一番遠いまち」とも呼ばれています。20年以上、転出超過が続き、人口の1割に当たる2800人が減少した町です。
しかし、若者の起業を積極的に促した結果、ついに、一昨年、転入が転出を上回り、人口の社会増が実現しました。
原田真宜(まさのり)さんは、パクチー栽培を行うため、東京から移住してきました。農地を借りる交渉を行ったのは、市役所です。地方創生交付金を活用し、起業資金の支援を受けました。農業のやり方は地元の農家、販路開拓は地元の企業が手助けしてくれたそうです。
「地域みんなで、手伝ってくれました」
地域ぐるみで若者のチャレンジを後押しする環境が、原田さんの移住の決め手となりました。
「地方にこそ、チャンスがある」。そう考え、地方に飛び込む若者を、力強く応援してまいります。東京から地方に移住して起業・就業する場合に最大300万円支給する制度を、さらに使いやすくします。「移住支援センター」を全国1千の市町村に設置し、移住へのニーズを実際の人の動きへとつなげてまいります。
都市に住む皆さんの地方での兼業・副業を促すため、人材のマッチングや移動費の支援を行う新たな制度を創設します。関係人口を拡大することで、将来的な移住につなげ、転出入均衡目標の実現を目指します。
企業版ふるさと納税を拡充し、地方における魅力ある仕事づくりを一層強化します。独占禁止法の特例を設け、まちづくりの基盤である地方の金融サービス、交通サービスをしっかりと維持・確保してまいります。地方の創意工夫を、1千億円の地方創生交付金で、引き続き応援します。
若者が将来に夢や希望を持って飛び込んでいくことができる。地方創生の新しい時代を、皆さん、ともに、創り上げようではありませんか。
=(3)に続く