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ベトナム、自動車産業の育成に高いハードル

 ベトナム経済は近年、前年比7%の高度成長が続いており、政府は2020年も同6.8%増を目標とする。特に工業部門の伸び率が高まっており、米中貿易摩擦の影響を受けた中国からの製造業生産移管も追い風となっている。一般に1人当たり国内総生産(GDP)が3000ドル(約33万円)を超えると自動車の普及率が大きく上昇するモータリゼーション期に入るといわれており、ベトナムは近い将来にこの水準を超えるとみられる。

 こうした中でベトナム政府は14年、自動車国内生産を25年までに年間約46万台、35年までに同約153万台とする高い目標を掲げた。増加が見込まれる国内販売を取り込み、自国の産業育成を促す狙いがあると考えられるが、実現のハードルは高い。

 まず、高い経済成長が続くことを前提とする需要拡大見通しは楽観的な面があろう。さらに、ベトナムの自動車生産は、部品を海外から輸入し組み立てを国内で行うノックダウン生産が主流であり、素材や部品の供給を担うサプライヤーの整備が進んでいない。こうした裾野産業の育成は、部品の現地調達による車両コスト削減に加えて、国内の雇用促進を通じた所得の向上という観点からも重要なことから、部品産業の誘致に向けた政策の整備も必要となるだろう。

 また、18年に東南アジア諸国連合(ASEAN)物品貿易協定に基づき、輸入車の関税が撤廃されたことも、国内自動車産業の育成には逆風となっている。ディーラー網の整備や販売金融の充実により、タイなど近隣ASEAN諸国からの輸入車との競争を勝ち抜き、拡大する国内需要を取り込むことも重要になると考えられる。(編集協力=日本政策投資銀行)

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