海外情勢

英EU離脱確実でロンドン商業不動産にようやく光明 投資家に信頼感

 ロンドンの商業不動産取引が2020年に上向きそうだ。3年以上にわたって市場の重しとなっていた政治的な不確実性の霧が、ようやく晴れつつある。

 昨年12月の総選挙でジョンソン首相の保守党が圧勝し、首相の公約通りに1月末の欧州連合(EU)離脱が確実な情勢で、新たな取引を探る不動産開発会社や投資家の信頼感を高めることになる。もちろん、20年末までにEU側と通商交渉合意に至らなければ、秩序なき離脱となる可能性は残っている。

 不動産を仲介するサヴィルズのロンドン中心部・国際投資責任者、スティーブン・ダウン氏は「19年は最悪の年」とした上で、「まだ一定の警戒感はあるが、少なくとも1つの不確実な要素はなくなった」と述べた。

 政治リスクが19年の市場にいかに影響を与えたか、そしてロンドンのオフィス市場で取引と価格がいずれも20年に上向く可能性がある理由は以下の通り。

 16年半ばに行われたEU離脱の是非を問う国民投票の頃は、離脱となれば需要が急減すると見込まれたが、ロンドンのオフィス需要は底堅く推移。EU離脱が一度ならず先送りされ、総選挙も行われたことから、地主らは政治的な混乱が収まるまで物件の提供を控えていた。デロイトの調査によれば、強い需要にもかかわらず国民投票以降は新規の建設が毎年減っていた。需要が新規供給を上回り、空室率が低下し始めている。

 ロンドン最大級の複数のビジネス街ではここ2年、家賃が上昇している。オックスフォード・エコノミクスは向こう5年間に20万3000人程度の新規オフィス雇用がロンドンで生まれると予測している。

 賃貸市場は堅調で、国民投票後の短期的な値下がりを除けば、ロンドンのオフィス賃料は下がっていない。ただ、英国とEUとの将来的な関係をめぐる不確実性を踏まえ投資家が殺到したベルリンやパリでは、不動産投資の利回りが大きく低下している。

 つまりロンドンの物件は相対的に安く取引されており、総選挙の結果が「投資家の信頼感を既に高めた」ため、20年は売買が膨らみ、価格も上昇する可能性があるとCBREグループでロンドン中心部投資責任者を務めるジェームズ・ベッカム氏は指摘した。(ブルームバーグ Jack Sidders)

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