海外情勢

タイ伝統の唐傘、生き残りを模索 工房ツアーや新商品開発も

 タイ北部の観光都市チェンマイには100年以上の歴史を持つカラフルな手作りの唐傘がある。実用品として使われなくなって久しいが、老舗工房は見学ツアーや商品開発に取り組み、伝統工芸品としての生き残りに向けた模索を続けている。

 チェンマイ郊外にある地元最大の直売店。工房では職人が真剣な表情で、持ち手部分となる木を削ったり、竹でできた骨組みに紙を張ったりしていた。「熟練の技が必要です。40年以上働いている人もいます」。3代目オーナーの女性、カニカ・ブアジーンさんは胸を張る。大きさや絵柄はさまざまで、小さな傘は200バーツ(約700円)前後で売られていた。

 タイのメディアなどによると、チェンマイで唐傘作りが始まったのは100年以上前。タイ人僧侶が現在のミャンマーとの国境近くで、ミャンマーの人々の持つ傘に魅了され、作り方が伝わったのが起源だという。チェンマイは美しい寺院も多く、タイ有数の観光地の一つ。タイ政府によると、2018年に国内外から訪れた観光客は約1084万人で、ここ数年は右肩上がりだ。

 ただ、カニカさんによると、工房を訪れる人は減っている。会員制交流サイト(SNS)に投稿する写真だけを撮って帰る人も多く「3年前くらいから、特に売れ行きが落ちている」。近年のバーツ高で外国人観光客の財布のひもが固くなっているとも感じている。

 チェンマイをよく訪れるバンコクの40代女性も「よほど傘に興味がなければ、わざわざ買いには行かない。食べ物がおいしいチェンマイでの楽しみはもっぱらレストラン巡り」とそっけない。

 職人は高齢化しており、カニカさんは後継者不足も懸念する。将来の担い手につなげようと、地元の子供を対象にした工房見学も行うが「高校生になると、結局地元を離れてしまい難しい」。

 ビニール傘の普及で、日常的に使う人はほぼいない。日傘としての使用をアピールしたり、特殊な布を使って、実用的な傘を開発したりするなど、試行錯誤を重ねている。(チェンマイ 共同)

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