海外情勢

好調なファーウェイに緩みなし 生き残り懸け社内警告「困難な20年に備えよ」

 中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)が米トランプ政権の制裁を尻目に昨年、過去最高の売り上げを記録した。制裁が同社の知名度を上げ、受注増加に結び付いたことが一因だ。しかし、今年は大きな課題に直面するとみられている。

 米制裁も売上高最高

 同社は米国製の重要部品を購入することを禁じると米政府が発表した数日後、創業者の任正非最高経営責任者(CEO)は深センの本社で緊急会議を開いた。各部門のトップにトランプ政権による禁止措置の影響を分析・報告するよう指示。見通しは極めて厳しく、法人戦略担当プレジデントとして会議に出席していたウィル・チャン氏は「世界を失ったとわれわれは考えていた」と打ち明ける。

 だがそうした見方は悲観的過ぎた。ファーウェイの2019年売上高は前年比18%増の8500億元(約13兆5600億円)。1~6月で約23%減少し、社内目標には届かなかったが、それでも過去最高を更新した。電話会社向けの通信機器供給で世界一、スマートフォンメーカーとしては韓国のサムスン電子に次ぐ世界2位という地位を保持した。

 生き残っただけではない。一部の分野では絶好調だ。問題はこれがどれだけ続くかだ。幹部らは今月初め、自社の生き残りが優先課題であり、困難な20年に備えよと社員に新年の文書で求めた。昨年5月の米ブラックリスト掲載前に保持していた数カ月分の在庫はなくなりつつある。徐直軍輪番会長は、勢いに頼るだけで事業を牽引(けんいん)していくことはもはやできないと警告を発した。

 トランプ政権の制裁はファーウェイというブランドに予想外の効果をもたらした。オーストラリアなど幾つかの国はトランプ大統領の主張に基づき同社製の機器を自国の通信ネットワークに用いることを禁止。だがそれ以外の国々では、ファーウェイの知名度が急上昇した。何十年もひっそりと活動してきた企業が突然、世界中のトップニュースを飾るようになったのだ。

 米国とその親密な同盟国以外では、通信会社がこの騒ぎの全容を把握したいと考えた。中国では不当な迫害だと見なした消費者と電話会社がファーウェイの味方となり、販売を押し上げた。トランプ政権の制裁はある意味で第5世代(5G)移動通信ネットワーク機器から人工知能(AI)半導体に至る最新テクノロジーを開発するファーウェイの能力にお墨付きを与えたのだ。

 スマホ販路に圧力も

 一部のファーウェイ幹部が携帯電話事業に乗り出すと決めたのは03年。最初の自社製スマホは10年代前半で、かつてのネットワーク機器同様に、初期モデルは特長のない安さが売りの製品だった。だが5年以内に米アップルやサムスンに挑もうと、巧みなマーケティング(ドイツのライカカメラと16年に提携したことが決め手の一つとなった)とバリューチェーンを向上させるリサーチを組み合わせて活用した。

 ファーウェイのスマホ「メイト20プロ」は米通信用半導体大手スカイワークス・ソリューションズの部品に頼っていたが、昨年秋に発売した上位機種の「メイト30プロ」は村田製作所の通信モジュールを採用し、自社製部品を使っている。

 同社のスマホ出荷は19年に前年比16.5%増え過去最高の2億4000万台となった。ただ今年はそれほど明るくないかもしれない。IDCのアナリスト、ウィル・ウォン氏は「20年にファーウェイは大きな課題に直面する」と予想。同社の「最新スマホにグーグル・モバイル・サービスからのサポートがないため一部の買い手がサムスンなど別のブランドに向かう可能性があり、ファーウェイの小売り販路は巨大な圧力に見舞われるだろう」と話した。(ブルームバーグ Yuan Gao)

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