国内

環境相、日系の石炭火力新設に反対 ベトナムで建設計画 「理解得られぬ」

 小泉進次郎環境相は21日の閣議後記者会見で、三菱商事が関わるベトナムの石炭火力発電所の建設計画に反対の立場を表明した。事業を止める権限はないが、地球温暖化対策を妨げるとして問題視されていることを踏まえ「国際社会から批判を浴びながら、このような実態があるのはおかしい。国民、国際社会の理解は得られない」と述べた。

 政府は、最新鋭の発電設備導入など一定の要件を満たせば、発展途上国の石炭火力発電所建設を支援する方針だが、これに一石を投じた形。閣内不一致との指摘が出る可能性もある。小泉氏は、関係省庁と支援の在り方を議論したい意向も示した。

 石炭火力発電は、二酸化炭素(CO2)の排出が特に多く、欧州などで廃止の流れが強まっている。日本は途上国支援のほか国内の利用も続ける方針。

 小泉氏が問題視したのは、ベトナムで三菱商事の子会社などが計画するブンアン2石炭火力発電所(2基、計120万キロワット)。国際協力銀行(JBIC)や国内のメガバンクが融資を検討中で、建設は中国や米国の企業が担う見通し。

 小泉氏は、海外支援をする理屈として「日本がやらなければ中国が席巻する」と説明されてきたと指摘。「今回は日本が金を出し、造るのは中国と米国のメーカーだ」と述べ整合性に強い疑問を示した。「日本の政策を脱炭素化に資するように変えたい」とも強調。三菱商事は「個別の案件に回答できないが、開発に着手した案件を除き、新規の石炭火力発電事業には取り組まない方針だ」とした。

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