海外情勢

スペースX、関門クリア 安全試験に成功、今年上半期にも初の有人飛行

 イーロン・マスク氏率いる米宇宙企業のスペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX)は19日、開発中の有人宇宙船「クルー・ドラゴン」の緊急脱出試験に成功した。最後の大きなハードルと位置付けられた安全試験をクリアしたことで、今年上半期にも同社初の有人宇宙飛行が行われる可能性が出てきた。

 任務を「完璧に実行」

 米航空宇宙局(NASA)とスペースXが19日の試験終了後に開いた記者会見で、マスク氏は、有人飛行第1号に必要なハードウエアの準備が恐らく2月末までに整うとの見通しを示した。同氏は「同僚の英知を集めて」2020年4~6月期に同社初の有人飛行が可能になったと強調し、自身も「とても気合が入っている。素晴らしい」と語った。

 宇宙船「クルー・ドラゴン」を搭載したロケット「ファルコン9」は米フロリダ州のケネディ宇宙センターから現地時間19日午前10時半(日本時間20日午前0時半)に打ち上げられた。離陸から約84秒後にドラゴンがロケットから緊急脱出、打ち上げ後に何らかの異常が生じた場合、任務を安全に中止できることが示された。

 スペースXのプレス向け資料によると、緊急脱出試験にはドラゴンがパラシュートを使って降下する前の一連の複雑な手順も含まれており、打ち上げから約10分でドラゴンは大西洋に着水した。ファルコン9は予定通り、沖合で分解した。

 NASAのジム・ブライデンスタイン長官は、宇宙飛行士を乗せたロケットを打ち上げる前に、まだパラシュートのテストをかなりの回数実施する必要があるとコメント。NASAの商用有人プログラムのマネジャーを務めるキャシー・ルーダー氏は、今回の安全試験の任務が「完璧に実行された」と評価した。

 計画は2年遅れ

 11年にスペースシャトルが退役して以来、米国からの有人宇宙飛行は途絶えており、スペースXにとっては、国際宇宙ステーション(ISS)への飛行士輸送も重要なステップとなる。マスク氏はゆくゆくは月と火星への人類の輸送を目指している。

 NASAは有料でロシアの有人宇宙船「ソユーズ」に飛行士を搭乗させているが、自力でのISSへの飛行士輸送を再開するために、14年に合計68億ドル(約9493億円)でスペースXとボーイングにスペースシャトルの後継機の開発を委託した。それ以降、NASAと両社の計画は予定より2年以上、遅れている。

 昨年12月にボーイングが開発中の有人宇宙船「スターライナー」はソフトウエアの不具合でISSとドッキングできなかった。同社とNASAはこの飛行実験で集めたデータを検証しているところで、NASAはボーイングに2回目の無人飛行実験を求めるかどうかを検証後に判断するという。(ブルームバーグ Dana Hull、Emily Barrett)

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