海外情勢

中国新型コロナウイルスに市場動揺 リスク回避でアジア主要指標が軒並み下落

 中国政府は21日、中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスが人から人に感染したことを確認したと発表した。専門家は「重症急性呼吸器症候群(SARS)」並みの猛威を振るう可能性があるとみており、新型コロナウイルス問題は新たな段階に入った。市民が大移動する24日からの春節(旧正月)休暇を前に中国が感染拡大を抑えられないとの見方から21日の中国やアジア市場では人民元が5カ月ぶりの安値を記録したほか、航空、旅行業界など関連企業の株を中心にリスク回避の売りが広がり市場は動揺した。

 人から人へ感染

 武漢市衛生健康委員会は21日、新型コロナウイルス感染で89歳の男性が死亡し、死者が4人になったと発表した。中国中央テレビ局が中国政府の専門家グループ、国家衛生健康委員会の研究員である鐘南山氏の話として報じたところによると、人から人への感染が確認された。

 オーストラリア国立大学医学部のサンジャヤ・セナナヤケ准教授は「今回のウイルスによるリスクは増大している。異なる国に広がっており、人から人へとより容易に感染し得ることを目の当たりにしつつあるからだ」と指摘した。

 また、新華社通信によれば、医療従事者15人が発症し、1人が重篤という。医療従事者への感染拡大は、新型コロナウイルスが従来考えられていたよりも容易に感染することを示唆している。リスク水準が上がり、17年前に流行し約800人が死亡したSARSを想起させる。

 世界保健機関(WHO)は22日に緊急委員会会合を開くと発表。新型コロナウイルスの流行の沈静化に向けてどのような勧告が必要かを議論する。

 こうした中、21日のアジア外国為替市場では、元、韓国ウォンなどが売り込まれ、元の対ドル相場は一時0.57%安を記録するなど5カ月ぶりの大幅安となった。半面、日本円や米国債など安全資産が買われた。金相場もじり高となった。株式市場でもリスク回避の売りが活発化し、7週連続で続伸していたMSCIアジア太平洋指数は一時0.9%安となった。新型コロナウイルスの初の感染者が報じられた韓国でも韓国総合株価指数が前日比で約1%下落した。

 中国では20日にも航空、旅行、外食産業などの関連企業の株が大きく売り込まれていた。同日の中国国際航空株は香港市場で前日比7.8%下落と1カ月ぶりの安値を記録。人混みを避けようとして客足が減るとの観測から、世界最大のカジノ都市であるマカオのカジノ株価指数は同日4.1%下げたほか、中国不動産大手ワンダ・グループ(大連万達集団)の映画会社などが10%下落のストップ安となった。

 製薬会社など買い

 これに対し、ヘルスケア関連や抗生物質を製造する製薬会社などが買われた。医療従事者への感染拡大などを材料にゴム手袋世界最大手、マレーシアのトップグローブも21日、一時前日比6.4%高となるなど手袋各社が買いを集めた。コメルツ銀行の新興市場担当、シニアエコノミストの周浩氏(シンガポール在勤)はリスク回避の背景について「03年の春節の帰省ラッシュで、SARS感染が全国に広がったように新型コロナウイルスが爆発的に流行する恐れがある」と解説した。(ブルームバーグ Jason Gale、Sybilla Gross)

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