海外情勢

気候変動で世界的金融危機 国際決済銀行が論文公表、「グリーン・スワン」警告

 国際決済銀行(BIS)は20日、各国・地域の当局が気候変動に伴うリスクに対処しなければ、システミックな金融危機を引き起こす「グリーン・スワン」イベントを招きかねないとする分析論文を公表した。

 このグリーン・スワンとは、確率は低いが発生すれば広範囲もしくは甚大な損害をもたらす出来事を説明するのにナシーム・ニコラス・タレブ氏が考案した「ブラック・スワン」の概念を借用した形だ。

 論文をまとめたBISのルイス・アワズ・ペレイラ・ダ・シルバ副総支配人らは「グリーン・スワン、つまり『気候版ブラック・スワン』は典型的なブラック・スワンの多くの特徴を備えている」と指摘した。その上で、「正規分布の想定に基づき、過去のデータから推定する従来のリスク管理手法では、将来の気候関連リスクの評価にはほぼ用をなさない」との分析を示した。

 なお、気候変動リスクが将来現実のものとなることに一定の確実性がある点で、グリーン・スワンはブラック・スワンと異なると、論文の執筆者は説明する。気候変動リスクは金融危機よりも大きな危険を人類に突き付け、一段と複雑で予測不可能な連鎖反応を招来しかねないとしている。

 気候変動に起因する金融関連リスクへの備えを強化するよう、各国・地域の当局に分析を通じて促す動きが中央銀行の間で広がりつつある。

 論文では、必要とされる解決策を中銀だけでは提供することはできないとする一方、従来の分析モデルでは目前の危機の規模についてほとんど判断することができないような未知の領域に中銀が直面する可能性があり、関与の方法をめぐり注意深い意思決定が必要となるとの認識が示された。「他の政府機関が行動を取るまで座視すれば、中銀としての責務を果たすことができないという重大なリスクに見舞われかねない」という。

 仏中銀のビルロワドガロー総裁は「気候変動の時代に中銀が金融と物価の安定性を維持しようとするのであれば、この闘いに勝利を収めるのに必要な全ての力の結集を図るのが利益にかなう」と論じた。(ブルームバーグ Jana Randow)

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