海外情勢

金融「ボーナス文化」の終焉 機械が代替…トレーダーの「活躍の場」なくなる

 スイスの金融大手UBSのストラテジック・デベロップメント・ラボ責任者のクリス・パービス氏(ロンドン在勤)は10年以上にわたって、アルゴリズム取引や機械学習など市場の技術の最先端にいた。

 同氏は現在、技術革新の荒波を乗り切った人材に注意を向けている。物事が決してかつてと同じにはならないことを理解させ、これまでのやり方を忘れさせようとしている。

 トレーダーらがソフトウエアに先を越されるかもしれないという問題だけではない。これまでの在り方全てが消えようとしている。

 パービス氏が言うところの「ボーナス文化の終焉(しゅうえん)」だ。報酬面が金融の世界への技術革新の最後の仕上げになる。

 パービス氏はトレーダーらを電子システムへと導いている。1億ドル(約110億円)を求め伝説のギャンブラーたちがしのぎを削る日々は過去のものになり、トレーディングの業務はより官僚的になった。個人の判断の重要性が低くなると同時に、トレーダーらがかつて期待したような報酬を支払う必要性も薄れた。

 パービス氏は「自分のボーナスや損益よりもむしろ、例えば10年後に市場がどのようになるかという長期的な目標に基づいて行動する人材を雇いたい。自分の運命は自分次第だという考えは終わり、今はチームスポーツの時代だ」と話す。

 危機後の業界文化の変化とトレーディング収益の低迷によってボーナスは既に抑えられている。ニューヨーク州会計検査官の最新の見積もりによれば、ウォール街の平均ボーナスは2018年に3年ぶりに減少し15万3700ドルとなった。

 しかし、これは金額減少だけの問題ではない。ボーナス文化そのものが危機に瀕(ひん)している。ハイテクのプラットフォームが中心となった今、ボーナスは個々人の稼ぎに基づくのではなく、より広範なデスクまたは部門のパフォーマンスによって決定されるだろう。

 銀行業界での勤務歴20年以上のティム・ホール氏は、かつては良いトレーダーというものがいたが、今では「プラットフォームやロボット、異なるスキルを持つ人材に取って代わられつつある」と話した。(ブルームバーグ Katie Linsell、Lananh Nguyen)

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