「韓国企業はロヒンギャ問題を気にしない」 ミャンマー投資攻勢、日米欧と一線
日本が長く関係を築いてきたミャンマーで、韓国の官民が投資意欲を高めている。韓国はベトナムで、日本に先駆けて本格進出し「韓国の牙城とした」(韓国人記者)経験を持つ。イスラム教徒少数民族ロヒンギャの迫害問題で欧米や日本が投資に二の足を踏む中、積極姿勢が際立っている。
「ミャンマー政府も(ロヒンギャの住む西部)ラカイン州の問題解決のため、努力している」。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は昨年9月、企業関係者ら約200人を連れてミャンマーを訪問。アウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相との会見では、ロヒンギャ問題をめぐる対応に理解を示した。文氏は韓国が主導する最大都市ヤンゴンでの経済団地起工式にも出席し、投資促進をアピールした。
外国投資をてこに経済成長する青写真を描くミャンマーは、中国依存への警戒感が強く、欧米日からの投資を期待する。昨年8月にヤンゴンで開かれた投資フォーラムでは、スー・チー氏が日米の参加者を前に「あなたたちの存在がバランスと安定をもたらす」と呼び掛けた。
日本政府も企業に投資を促すが、不十分なインフラに加え「欧州の株主は人権問題を気にする」(三菱自動車の益子修会長)と、ロヒンギャ問題が影を落としている。
これに対し、「韓国企業はロヒンギャ問題を気にしない」(韓国外交筋)と説明。韓国人記者も「ミャンマーは経済開放して間もなく、日本企業もまだ少ない。進出余地がある」とみる。
ベトナムでは既に韓国の優位が明らかだ。日本貿易振興機構によると、1988年から昨年12月中旬までのベトナムへの累積投資額は、韓国が677億700万ドル(約7兆5400億円)に達し、日本の593億3400万ドルに大きく水をあけている。みずほ総合研究所の酒向浩二上席主任研究員は「ベトナムで韓国企業の存在感は突出している」とし、差はさらに開くとみる。
地元記者は「日本企業は話を聞くばかりで、実際の投資をしない」と指摘。トップダウン方式で決断が速いとされる韓国企業の進出が今後進むと分析した。(ヤンゴン 共同)